65.熱心すぎる指導により
騎士寮の玄関口を通りすぎようとした時。
「あ、ロシュ様。丁度いい所に」
中からイブランが現れ、丁度いいと言われた。
「どうした?」
「ジャルは昼飯こっちで食わせるんで、スロウに言っといてくれると助かります」
ジャルもやられていたか……まぁ、イブランだしな。
「…そちらもか」
「そちらも?」
「あぁ、こっちはゼイラルをな。あちらに今、くずれてる」
「なるほど。それじゃあ昼飯の件、頼みます」
「了解した」
ちらりと私が来た方を見ると、イブランは再び騎士寮へと戻っていった。
私は言われた通りダイニングに行く前に、玄関近くにいたサジリウスに話をし、調理場へと寄りスロウへと話をつけた。
ダイニングに行くとライラとランスが楽しげにしていた。
「もうそんなに仲良くなったのか」
「ロシュさん!」
「とうさん!はい、ランスは俺と相性が良いみたいで」
ライラにとっても、いい友になったということか。さて、ランスには伝えておかねばな。
「そうか。ジャルとゼイラルは別の場所で昼食を取る事になった」
「…2人はどうしたんですか?」
心配と不安が入り交じったような顔で私を見つめるランス。……少し可愛いと思ってしまったのは、彼に対して失礼だな。
「こちら側の熱心すぎる指導により、歩けない程度に疲れさせてしまったな。休ませることを優先させてもらった」
「そうなんですか…」
「ランス、安心して。我が家の指導についてこれればちゃんと強くなるから」
「うん」
ライラの説得?によりランスの2人を心配する不安は、取り除けたようだった。
デザートが来るまでの間に、ランスがイブランの指導を受けたいと言いだした。
「構わない。しかしなさすがにイブランの本気を相手取るには、まだ身体がなっていないからな。ライラ、頼めるか」
「はい。ランス、一応俺もイブランからの指導も受けていたから、まずは俺とからでいい?」
「うん、大丈夫」
それから2人は小休憩を挟んだのち、騎士寮の地下へと向かう事になった。
……私はまた1人寂しく書類とにらめっこだ。
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