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55.香る匂いに……


体感時間で5分程たった頃。ライラが私から身体を離した。



「とうさん、ありがとうございました」



名残惜しい、な……



「あぁ……それでライラ。スピオンから今この家に客人がいるのを聞いているか?」

「はい」

「その者は異国の王太子殿下だ」

「王太子……」



私はライラに客人であるランスのことについて話した。



「だが、彼はその扱いをされたくないようだ。彼と接触したのちの自己紹介後は、ライラのいつも通りで接してやってくれ。年齢は10才でランスと呼ばれた方が楽のようだ」

「分かりました」



精神的に疲れている所に気を使う客人を相手にさせるのは、申し訳ないと思う気持ちがあったため、素直にライラへと伝えた。



「帰ってきたばかりでこんなことを頼んですまないな」

「大丈夫です。あそこにいるよりはうんとマシです」

「そうか。なら挨拶をしておこうか。それともすぐにでも風呂に入った方がいいかもしれないな」

「……やっぱりにおうよね」

「あぁ」



ライラの服や髪からは(にお)いの強い花の香りがした。

この匂いは私も知ってるが、それをさらに濃度を濃くしてある匂いなのだ。慣れていないものが長時間嗅ぎ続ければ、鼻がどうにかなるかもしれんな。


そんなのもを家中の布製品に振り撒いているプリリル公爵家には長時間はいたくはない。


その中に足を踏み入れることになった、ライラと使用人達は申し訳ないと思う。

話を突っぱねられる相手なら良かったのにな。



「じゃあ、俺は風呂に入ってから挨拶したいと思います」

「分かった。ランスはいま応接室にいるから鉢合わせすることはないぞ」

「うん」

「なんなら、私が洗ってやるぞ?」

「やめて?恥ずかしい!するならレイラにやってあげて!」

「そうか…夕飯前までには挨拶を済ませてくれ。堅苦しい場にはしたくないんでな」

「分かった」



ライラはそういって部屋から出ていった。


私は書きかけの書類に記入しだいランスの相手をしに戻ろう。この考え方を言葉にしていたら、嫌々相手をしていると思われるな。



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