45.ようこそ、歓迎する
あのあと朝食を除く時間ギリギリまで、ランスロット王子、ジャル、ゼイラルを寝かせた。
3人ともすっきりとまではいかないが、寝不足のような感じはしなかったと、洞察眼で見極めたアリエスから聞かされた。
アリエスは、医療技術取得者だからな。怪我や体調不良などを起こしてもすぐに対処してくれる。
朝食後。次の休みである昼食まで馬車を走らせ、夕方には宿のある町に到着した。
この行動をもう1度繰り返した末の昼頃。
私達の住むグランツェッタ領に入った。
入っる時の関所で兵士と少し会話をした。出入りしたリストを作成してもらっているので、それを受けとると関所を後にした。
その1時間後。
私達は我が家へと帰還した。
家の敷居に入ると馬車から、
――しらが髪にレモン色の瞳の――執事長のサジリウスと、
――桃色の髪にオレンジの瞳の――騎士のシリウスが待っているのが見えた。
馬車を降りるとシリウスが駆け寄ってくる。
「ロイ様!お帰りなさい!」
「あぁ」
「荷物をお運びしますね!」
「あぁ。頼む」
元気がいいシリウスは、意気揚々と馬車の荷物を運び出し始める。
「お帰りなさいませ。ロシュ様」
「サジリウス。お客様は異国の王太子とその騎士達だ。今から3部屋全ての客室を開けてくれ」
「かしこまりました。それまでお客様はどちらに?」
「応接間に連れていく」
「ではバルナに言って飲み物を運ばせます」
「あぁ」
サジリウスも屋敷へと入っていく。
その間にランスロット王子とゼイラルが馬車から出てくる。
「ここがロイヴァルッシュさんのお屋敷ですか?」
「あぁ、ようこそグランツェッタ家へ」
私はランスロット王子達を歓迎した。使用人達も軽くお辞儀をして歓迎の意を示した。
「荷物の方はアリエス達に任せていい」
「俺達も手伝いますよ?」
「こちらにも準備がありますので。お心遣いだけで十分です」
ジャルが手伝うと言ってくれたが、アリエスが丁重にお断りしている。部屋の準備も出来ていないのだから、ただただ待たせるのことになるのは目に見えているからな。
私先導のもと、応接間へと案内した。
「ひとまずはここでくつろいでくれ。少ししたらバルナというメイド長が飲み物を持ってくる」
「ロイヴァルッシュさんは?」
「仕事だ」
「帰ってきたばかりなのにですか?」
「あぁ。もし何か私に用が出来たなら、扉の外にいる騎士に話しかけてくれ」
「レオかベガがいるの、ですか?」
「いや。騎士長がいる。挨拶をさせるか?」
ランスロット王子、ゼイラル、ジャルの問いに答えていく。
「後でこちらから挨拶します」
「そうか。ではしばらく失礼する」
ゼイラルの言葉を最後に私は、応接間を後にした。
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医療技術取得者とは、傷や骨折、体調不良などを診断して対処できる者のこと。また、設備や道具があれば縫合も可能。
今後は