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40.王国騎士団隊長との1幕。


一足先に停留所に到着すると、レオが貴族風の者と喧嘩をしているように見えた。

近づくに連れ、その服に見覚えがあることに気づいた。

あれは王国騎士団の者だ。



「――だからこの中にいるのだろう!早く主を出せ!」

「いないっていってるのに。理解できてないの?」

「誤魔化すな!」



赤よりは暗いワインレッドの髪に、赤い瞳の男に近づいていくと、ようやくレオがこちらに気づいた。



「あ。ロイ、ヴァルッシュ様。お帰りなさい」



他人がいるためか、レオは『ロイ』ではなく『ロイヴァルッシュ』と呼んだ。



「あぁ。それで?そちらはどなただ?」

「お前がこれの主か」

「はい。そうですが?」



人に対して『お前』か。中々態度が上からだな。



「私は王国騎士団隊長、ジャニリー・ヴィ・イワンだ」



イワン。か。



「私はロイヴァルッシュ・ヴィ・グランツェッタだ」

「グランツェッタ!?あの?!」

「ビリィー・ヴィ・イワン前隊長の息子さんで合っているか?」

「は、はい!」



『あの』ということは聞いているのだろう。彼の父親とは何度か剣を交わした仲だ。

そして彼に女性で唯一敗北を与えたのが私だ。それも剣を交えた全て私は勝利を納めている。


彼はそれに関して『いつか立派になった騎士のせがれが君に勝利を与えるからな!』と次の勝負を息子に託すことを、笑顔で言ってくれたのを今でも鮮明に覚えている。


そして彼は教育熱心だ。騎士として恥じるような行為は許さない。


それを分かっているからだろう。私と父親の関係を知ったからだろう。彼は上から目線をやめ、新人が緊張するように言葉づかいと姿勢を正した。



「そうか。彼には私も世話になったが…。息子さんが君だとは思わなかった」

「し、失礼な態度を取り申し訳ございませんでした!!」

「私の名前は団員に話したのだが聞かなかったのか?」

「……なにぶん、私も忙しかったもので」



確かに王国騎士団は、間近に迫る生誕祭のための警備プランなどの詰め作業があるだろう。



「ほう。忙しいのにわざわざ来てくれたのか。すまないな」

「いえ!その。グランツェッタ家の騎士ならば、盗賊などするわけがありませんから!お話の件はなかったことにしていただいてかまいません!」



ジャニリーからは、早くこの場から去りたいという節操感が言葉に滲み出ていた。まぁ、私も長く引き留める理由もないしな。



「そうか。それはありがたいな」

「では!私はこれで失礼します!!」

「また王都に来たときにでも会おう」

「はい!」



ジャニリーを見送る私の後ろで、やっぱりロイ様は凄いと言うベガの声とそれに同意するレオの声が小さく聞こえた。

聞こえているぞ。2人とも。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



王国騎士団は王都や王都周辺を警備する者達である。


他の領地にも騎士団は存在しており、状況によっては変わるが基本的な命令系統らの優先順位は国王、領主、騎士団隊長の順である。





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