367.貴族としての…
おはようございます
両者合意のもと、私とゼイラルの結婚確定の婚約関係が成立したことに伴い、ゼイラルの生活は変わることになった。
まず、働き口。
さすがにウェイターが公爵の爵位を持っているのは、貴族界から批判が来る。
だが、今はまだ『婚約中』で爵位はまだないならば、婚約期間終了前にやめればよいという事で、妥協。
本当はすぐにやめても良いとゼイラルは言ったが、貴族となれば飲食店などの場所で働けなくなるのだからと、言い聞かせた。
次にゼイラルの住む場所。
今住んでいる自宅は彼には残念だが、仕事をやめたのち売却となる。これも貴族うんぬんでだ。
その代わり、執事寮の1室とグランツェッタ家の1室が彼の部屋として提供される。
2部屋も?彼と思われたが、息抜きの場は必要判断した。
私と結婚すればグランツェッタ家が彼の家となるが、元々異国から来たのと、身内がいないことで住んでいると気疲れも出てくるだろうという事を話し、納得してもらった。
まぁ、使用人達やライラ達とより親しくなればそんなことは考えなくなるだろうがな。
最後に貴族と副領主になるにあたり、マナーなどの復習を兼ねた勉学。
ゼイラルも元々貴族ではあったがそれは母国でのこと。
こちらとではズレがあるかもしれない、そのための勉学は必須だ。
副領主の仕事については、貴族としての振るまいがある程度ついてからとなる。
貴族同士のやり取りも見ることになるからな。ここは?ここは?と聞かれるより、知識を身に付けた上で、習わなかった箇所を聞かれる方が私としては効率がいいしな。
そして私はこの事を含めたゼイラルとの婚約関係などを、全使用人とこども達にダイニングにて伝えた。
驚く者、呆然とする者、歓喜する者、関心のない者、様々な反応が見てとれたが、皆祝福してくれた。
特に式やパーティーの御披露目衣装などを作りたいからだろう。クエリアの喜びようは凄かった。
「では採寸しないとですね~!」
「ドレスは着ないぞ?」
「少しも着たいとは思わないんですか~?」
「思わん」
「でも――」
「それならばゼイラルのタキシードでも作ってやってくれ。作ったことのない者の衣装を作る方が楽しいだろう」
「ロシュ様……。私…頑張ってゼイラル様のお衣装作りますね~!」
「あぁ」
ゼイラルには申し訳ないが、遅かれ早かれクエリアの服を作らせて攻撃は受けるのだ。
それが親睦を深める前へと前倒しになっただけのことだ。
まぁ、初めてならば2日くらいの拘束で済むだろう。
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