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362.駆けた。


アリエスに屋敷の仕事を指示したあと、私達は3馬で街まで駆けていっていた。

別に駆けてまで急ぐ必要はないのだが、こうして馬に乗るのは久しぶりで少し興奮してしまったのもある。

まぁ、街の中でまで駆けていったら、迷惑というよりは事故を起こしかねないため、街の入り口付近を目処に速度を落としていった。


ようかく速度が落ちたことにより、レオが止まるように声をかけてきた。



「ロイ…様。速度、上げるなら言ってくれないと…」



――レオの少し乱れた呼吸から必死に付いてきたことが伺えた。



「あぁ、すまないな。久々だったからついな」



――ロシュとレオが話している最中、ベガはずっと馬のたてがみ付近を一点に見つめていた。

急激な運動による酸素不足を補うため、話すことを放棄しているが、ロシュとレオの会話はきちんと聞いていた。


ただ今回はロシュが、馬が出せるギリギリの速度で急に走り出したがために、追い付く事を重きにおくはめになった。


騎士としてはここで主人を心配し、警戒をしながら馬に乗り、奇襲に備えて剣をいつでも振れる体制になれるようにしていた。

敵がいて追うのと、警戒して追うのとでは、身体にかかる緊張も変わってくるため、息切れや酸素不足が発生していた。



「つい?楽しくて駆けだしたの?」

「そうなるな」

「それこそちゃんと言ってほしかった。敵か何かがいても、俺達より前に行かないでほしかったから、こっちも必死に追ってた」



レオは怒りはしていないが、私が先行したことに不満気だ。

騎士としては守るための行動や逃がすための行動が求められやすいのに、逃げられるような行動をされては不満も持つか。



「…そうだな。今後は何も言わずには行かないようにしよう」

「敵がいても前に出ないで、の方は?」

「まぁ、私がやれそうならやりたい所ではあるが、そちらもきちんと守るようにはする」



守る者が前に出すぎるのは控えていたつもりだ。

まぁ衝動は抑えが効かんから、その場合は連闘をさせてもらうがな。


――ロシュは自分の衝動には自制をかける気はあまりないようで、レオとの口約束には『ようには』という言葉を使い、衝動的行動に対して『絶対守る』という言葉をさけたのだった。


その様子に聞き耳をたてていたベガは、ほんの少しだけアリエスと変われば良かったと考えた。

しかし職務は放棄してはならない、とすぐさま後ろ向きとなった考えを自身で叱咤し、ロシュとレオに声をかけて、目的地であるゼイラル宅へ馬を歩かせ始めたのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



小説内解釈――衝動。

判断を思考せずに、心のままに行動する抑えにくい内部的な欲求。目的完遂によって消滅。




次回更新は11月30日月曜、朝9時です。



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