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361.同行


アリエスには自室へ向かう途中に、街のゼイラル宅へ向かうことを告げた。

だが、街の不特定多数の者に『寝間着のような格好』を見せるなどと、彼女は淡々と怒りを露にしていた。


そこからは早足となったアリエスが私の自室に到着すると、真っ先にクローゼットへ向かっていった。

選んでもらうならばと、私はどういった理由で今から街へ行くのかも話した。

最初に告げたのは、ゼイラルから告白の返事を受け、婚姻・結婚を取り付けるために向かうということだった。



「ゼイラルから返事をもらったのですね…」

「あぁ。後でで良いならば見るといい」

「是非に読ませていただきます。ではお仕事をしているように見えるよりは、休暇であると見える服の方がよろしいですね」



アリエスは返事を受けたと聞いた時、服を選ぶ手を1度止めたが前のような不満や疑心などを言うことはなく、むしろ私がやりたかった服選びの真意を読み取って見せた。

まだ服の基準に対しての理由は何も言っていないのにな。



それから服を選び直され、今日決めた日程やその過程にあった話も終えた。

自室から出ると待っていたベガの表情を見て、『あぁ、先程の服は余程無理があったのだな』と再認識させられたのだった。








屋敷の外へ2人と供に出た私は、目的地である街へ馬で向かうため、馬小屋から馬を出し待っていてくれたレオのもとへと到着した。


レオはアリエスがいることに驚いてはいなかった。

どうやら屋敷の前で1度すれ違っていたらしい。



「馬で行かれるのですか…?」

「あぁ」



馬車ではなく馬のみが用意されていたことで、私達の移動方法を理解したアリエスは眉を少ししかめた。



「何故それを早く言ってくださらなかったのですか…」



その言葉で私はアリエスが、このままついて行こうとしていたのだと気がついた。



「…アリエスも同行したかったのか?だが、元々ベガとレオの2人と行く予定だったのだ」



――ロシュは表現が分かりにくかったが、『アリエスを同行させるつもりはなかった』と彼女に伝えた。


それを理解したであろうアリエスは、ジロリとベガの方を向いた。

レオに向かなかったのは余地がないと判断したからだろう。



「……」

「!」



――ベガの背中にジトリと汗が滲んだ。

アリエスの視線には『私が行きたいの』という、同行を変わってほしいという無言の圧があったのだ。


アリエスの方が年下だが、彼女の睨むような下からの視線には身震いを覚えているベガは、彼女の対応したけた。

だが。



「アリエス。牽制してベガに変わってもらおうなどと考えるな。今日は屋敷で雑務、もしくはこのまま自室へと戻れ」

「……屋敷にてご帰還をお待ちしております」

「あぁ。留守は任せた」



――そんなアリエスの思考を読んだロシュによって、『別の仕事をやるか、仕事をまた休むか』の2択を迫り、彼女は前者を選んで大人しく引き下がったのだった。




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