36.武術は嗜んでいる
(この小説内での)武術とは。
剣術・弓術・馬術などの戦闘技術を指す。
それとランスロット王子達の年だが、ランスロット王子はレイラより、2つ下。
年を教えると敬語は必要ないですと言われてしまったため、少し困ったが、レイラ達に接するようにすればいいだろうという考えに至った。
応接間の前に付くと、アリエスが待っていた。
「アリエス。外で待っていたのか?」
「はい。……そちらの方々は?」
「お客人だ。茶を頼む」
「はい。先に中でお待ち下さい」
アリエスが扉を開けてくれたため、ご苦労と、肩を軽く叩きそのまま中へと入っていく。
メダだけは扉の外で待機する。
「…いいんですか?騎士を側から離して」
騎士のジャルからそう言葉をもらったが……
まぁ普通は近くに置いておき、機密事項の高い話の時は、外に出てもらうのはどの国も共通か。
「大丈夫だ。私も武術は嗜んでいるからな」
――カチャリ。
「「っ!」」
私は柄のない短剣を袖口から出した。幼き頃からやって来た訓練の成果と呼べるだろう。
「……隠し武器ですか?」
「腰に付けている剣だけが武器ではない。それに守ってくれるものなら他にもいるからな」
「ほ、他に?まさか隠れているとかか!?」
「ジャル。騒がしいですよ」
「そんなものは隠れさせないよ。さ、座って話そう」
私は3人に座るように促すが、座ったのはランスロット王子だけだった。それはそうか。
「で。その。守ってくれる者とは?」
「え。あぁ、あそこのメイド達だ」
「「「えっ?」」」
3人は部屋の隅で控えていたクエリアとジェミネを見た。
私達の視線を受けたクエリアは微笑み、礼をした。それを習うようにジェミネも礼をした。
「彼女達も、ロイヴァルッシュさんのように武術の何かを?」
「あぁ」
「そんなんに見えねーけどな」
「ジャル」
「っ。すみませんでした」
「いや、大丈夫だ」
侮辱をしたと思ったゼイラルが、ジャルに気づかせ謝らせた。
知らない人間からしたらただのメイドにしか見えないからな。仕方がない。
「失礼します。飲み物をお持ちしました」
アリエスが持ってきた4つのカップに入った紅茶をテーブルに並べた。
「あの、私達は――」
「淹れてしまったものを捨てるのは勿体ない。毒などは入っていない。良かったら飲んでくれ」
「ジャル、ゼイラル。お言葉に甘えて」
「失礼します」
「失礼」
断ろうとしたゼイラルの言葉に私は、捨てるのは勿体ないとランスロット王子を見て言った。
主からの指示かあれば飲むだろうという思惑は当たった。
そして私は3人が紅茶を飲むのを心の中で笑った。
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ランスロット・ジャル・ゼイラルの3人は『恋もよう(仮)』に登場しているキャラクターと同一人物。