347.誤解のないよう率直に
おはようございます
――コクリとアリエスが食べ物を飲み込んだ音が小さく鳴った。
「…問題ありません。お召し上がりください」
眉間にシワを寄せ念入りに毒味をしたと思われるアリエスは、問題がなかったといったため、ようやく私はゼイラルの手料理が味わえると、内心ワクワクとした。
「では、あらためていただくぞ――」
私が手をつければ、他の者も料理へと手をつけ初めた。
ただしゼイラルは私の感想を待っていたためか、食べようとはしなかった。
こういうのは食べ終わってから言いたい気持ちもあるが、すぐに伝えた方が良い者もいる…か。
「――うむ。この国ではなかなかありそうでない味だな」
「…はい」
私の味の感想に、ゼイラルは何故か落ち込んでしまったようだった。
いや。確かに『ありそうでない味』と言われれば、不思議な味。
つまり口に合わなかったと捉えられてる可能性もあるわけだ。
ならば撤回と率直な感想にしよう。
「ゼイラル。私は不味いと遠回しに言っているわけではないぞ?むしろその逆だ。旨い」
「あ、ありがとうございますっ、」
「礼をするならこちらだろう」
――ゼイラルは安堵した様子で、誉められたことへの礼を言った彼に、ロシュは自分達のために作ってもらったのだから、礼をするのは違うと、微笑んだ。
「本当に美味しいよ。スロウさんとはまた違った味」
「スロウさんと比べていただけるのは気が引けます…」
ゼイラルはレオの言葉に少し照れるように、料理へと手をつけ始めた。
それから、和やかに食事は終わりかと思えば、デザートが前日より仕込んでいたものがあるらしく、ゼイラルはそれをテーブルへと出していく。
『昨日』では何が使われているか分からない。ならばアリエスの警戒が強くなる……と思ったが、そんな事なかった。
どうやら先に毒味はしてあったようだ。
それに食べる直前にしなかったのは何故だ?主食は直前にしていたのにも関わらず……。
アリエスの毒味のタイミングばかりは、考えても分からん。帰りの馬車で聞こう。
こうして私はゼイラルの出してきたデザートを食べた。
やはりこれも、美味かった。と、今度は率直に答えを出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もしよろしければ、感想・ブックマーク・評価などお願いします。。