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34.やはり誤りだった


陛下がレイラとノアール王子の婚約話を終え、話をお開きにしようとしたので、止めさせていただいた。

この時点で、私への婚約者の話は間違いなのだと確信したが、一応聞いておかねば。手紙が間違えられていたということも話さねば、本当に送ろうとしていた者へ申し訳がないからな。


だが、ノアール王子にはまた睨まれてしまった。



「陛下。実は手紙に同封されていたノアール王子殿下からの婚約状と共に私への婚約状が入っておりまして…」

「なに?誰とのだ?」

「エノベイル王子殿下とのです」



エノベイル王子はこの国の第3王子だ。



「エノか…それは今あるか?」

「はい」



私は近くにいた、国王を守る王属騎士に私への婚約状を渡した。それが陛下へと渡り、読んでいる・・・。


読み終わるとそれを静かに懐にしまった。



「確かにロイヴァルッシュへの婚約状だな。これは送り名を誤り、送ってしまったものだが…ロイヴァルッシュの所で助かったぞ」

「そうですね。他の貴族の方でしたら本気にしていたでしょう」



私の家の他にもいくつか安全な家はあるが、大半は王族からの婚約状が来たと喜ぶだろう。王族としては誤りだとしても、令嬢・子息に恥を欠かせることになる。


王族からの婚約状はほぼ確定条項だ。最低でも1年は破棄できない。今回は私が本気にしていなかったことが幸いし、婚約状は送られていなかったことになった。



「うむ。そうだな。後でエノに謝っておかねばな」

「そうしてあげてください」



陛下はそう告げると執務があるのでこれまでとし、私が来たと扉とは違う扉から出ていかれた。それに王妃様も続き、ノアール王子だけが残った。



「ではレイラ、この俺自らが王城内を案内してやろう」

「……ありがとうございます。ノアール王子殿下」



陛下と王妃様がいなくなると偉そうになったノアール王子に、レイラは笑顔で対応している。が、私から見るとその笑みは、耐えているように見える。

呆れか、怒りかは……読まないでおこう。



「公爵。レイラはこちらで案内する。2週間後にまた来るといい」

「はい。レイラのことをよろしくお願いします」

「ふん」



ノアール王子がレイラの手を引き、私達が入ってきた扉から出ていかれた。

それに続こうとするメダに小声で、



「レイラを1人にするなよ」

「はい、ロシュ様」



とだけ伝えた。


あの王子は陛下の目を盗んで既成事実を作ろうとしそうだと思ったからだ。

成人もしていないくせに。と、私は心の中で悪態をついておく。間違っても口には出せんからな。


レイラには2週間も頑張ってもらうことになってしまったのは、申し訳がない。



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