337.纏まりは
ある程度、話がついたと判断した私は、バルナに指示を出した。
「バルナ。クエリア、スロウ、プロキノの3人に、今の話をしておいてくれ」
「はい」
「もし渋るようなら私からの命令だと言ってくれ。まぁ、最初から言ってくれても構わないがな」
「ロシュ様、そこまでしてプロキノをオリオンに付けたいので?」
「現状、それが1番都合が付けやすく纏まりもいいだろう?」
オリオンはライラの専属騎士ではあるが、基本的にアルタが側にくっついているため、出番は外出時と警備の時だけだ。
それ以外は雑務をこなしていた。雑務ならば他の者に割り振れば良いだけだ。
彼らがやる雑務は、次の日に回しても大丈夫なのがほとんどだしな。増えても問題はない。
プロキノは子供で勉学に勤しんではいるが、それ以外はスピオンの元、庭師になるため手伝いをしている。
時間に余裕が作れる者同士、そしてプロキノに至ってはオリオンに付いていけば他国へ行ける。
オリオンには特に何もないが、やってはくれるだろう。
「そう…ですね。あのオリオンでも子供がいれば、女に言い寄ることもないでしょうし」
あぁ。そうだった。オリオンは女性を口説くのが好きだったな。
それからしばし3人と話をした後、オリオンにだけ私がゼイラルに好意を抱いているのを伝える事となった。
両想いではあるが確定ではないため、むやみに使用人達を振り回さないようにとの、判断だ。
アリエスにもバレないようにしなければならないのは、至難だとは思ったが、私の気持ちが知られた時ゼイラルとの関係をどうとらえられるのかが分からない。
結ばれた後ならば、少しは軽減するだろうしな。
ちなみに表向きの事情は『他国の市場調査とプロキノの小旅行』となった。
市場調査は別にしなくとも良いのだが、雑務の仕事が他にやられれば『休息時間』が長くなる。
そこに私が仕事を与えた、という建前があれば気づかれることはないだろう、と。
一時的にとはいえ、知られないためには仕方のない。
話を終えると、3人に呼びつけて話を聞いてくれたことに礼を言い、帰ったのを見送ると私はすぐに着替えて就寝した。
悩みも晴れたからな。
明日からはいつも通りの私だ。
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