336.行きたいと
おはようございます
――オリオンをゼイラルの母国へ行かせるのに少々不安を抱いていた面々。そこへ1人、発言をした者がいた。
「ロシュ様。オリオンを1人で行かせることにご不安を抱いているのならば、提案…いえ。お願いがございます」
「願い…。言ってみてくれ。叶えるかはそれからだ」
バルナの願いでオリオンへの不安が解決できるのなら聞き、叶える価値はあるな。
――オリオンへの信頼がないわけではないが、時と場合により信頼は不安へと傾く程には、彼の信頼は不安定であった。
「ありがとうございます。内容は多少省かせていただきます」
「あぁ」
「実は先日、娘夫婦が家族旅行へと行きたいという話になりました」
――バルナの話にサジリウスが少し反応を示した。バルナの話ている内容を知っている様子だ。
「しかし長期間の休暇を取るとなると1、2ヵ月かかるという話になり、プロキノが『すぐにお休みが取れないのは仕方ないけど、ぼくはもうどこかにお出掛けしたい!行ったことない遠くがいいー!』と。駄々を捏ねて引きこもってしまい、現在もそれが続いています」
プロキノが引きこもる程の事があったとは知らなかったが、家族間での喧嘩と判断したバルナ達が言わなかったのだろう。
さすがに仕事に支障がでるなら言うだろうしな。
それにバルナが言いたいことは理解した。
「…なるほど。つまりバルナはオリオンの供にプロキノを付かせてほしいんだな?」
「はい」
「私としては問題ないと判断しているが。騎士長どうだ?」
敢えてイブランとは言わずに騎士長と言った。
これでオリオンは騎士としてプロキノに何かあったときに守り、助けられるかという意味が伝わる。
「そうですね…オリオンなら子供1人くらい易々と守れるでしょう」
「サジリウス。オリオンに何か心配はあるか?」
『オリオンに』と付けたのは、プロキノを心配するのは当然だと思ったため、聞く必要はないものと判断したためだ。
「いえ。ございません。ですが孫が可愛いので、もしもに備え、自衛法を教えておきたいと思います」
…ないと言いつつ、もしもの時を考えている時点で、心配だと言っているようなものだと思うのは私だけだろうか?
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