331.古参に告げる1
おはようございます。
まず私はバルナ、サジリウス、イブランに、深刻な話ではないことを、前置きした。
イブランが表情と言葉を崩し、安堵した表情となったが、後の2人は話を聞き終えるまでは、今の聞く姿勢―である真剣な真顔に近い表情―を崩さないようだ。
「では本題に入る。今回3人を呼んだのは、私の考えを聞いてほしくて来てもらった」
「我々で解決出来ることなのですね?」
サジリウスが自分達が呼ばれたからには、自分達でできるものなのか?という確認をしてきた。
「あぁ。他の者よりは冷静に考えに対する答えをくれると思っている」
「あんまり期待はしないでくださいな」
イブランの砕けた口調に場が少し緩む。
「期待はさせてもらう…さて。私の考えというのはだな。私がゼイラル・ムーロンに対して、恋情を抱いているということだ」
――バルナは自分が仕えている間にロシュに想い人ができたことに。
サジリウスはいきなり想い人がいる発言に。
イブランは失礼なことにロシュが恋情を抱く相手がいるわけがないと思っていた考えで。
3人の使用人はロシュの突然の告白に声を出さず、目を見開いて驚きを露にし、少しの静寂が部屋の中に起こった。
「ははは。私が恋情を持っていることに驚いたか」
――そんな3人の姿を珍しいものを見た、と静寂を破り笑ったロシュが話しかけたことで、彼らは会話を成立させなければ進まないと思考し、驚きから解放された。
その中でも一番に反応を返したのはイブランだった。
「…そりゃあ驚きますよ。相手も相手ですし」
――イブランはまだ本当のことなのか、ロシュが嘘をついているのかという感情を抱きながら、差し障りのない言葉で話しかけていた。
ただ、ロシュが自分達を集めてまで嘘をつくとは思えなかったため、『話を進めれば真意がすぐ分かる』と思考を切り替えた。
長年騎士としてついた闘いで身に付いた臨機応変力が、3人の中で1番だったために、イブランはロシュにすぐに話しかけられたのだった。
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――闘いで身に付いた臨機応変力。
敵と対峙した時などで。
一般人への被害回避、仲間との連携、進軍撤退の判断など、1分1秒の状況が生死を分ける思考・処置のこと。
――この小説での解釈。
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