325.危惧をきちんとしよう
おはようございます。
――朝食後。
ライラ達が帰っていったのを見計らって、ゼイラルは報告書を読んだ感想や考えを伝えてきた。
その1つに、『相手が魔法を使用した事による国の対応はどのようになるのか』について返答をしてくれた。
「『ゼイラル・ムーロンの精神を壊すのを狙っての襲撃とも述べている』との事ですので、例え私が元王太子付きの騎士であっても、こちらの国が表だって出てくることはないでしょう」
「表だっては…か?」
「はい。他国での魔法の使用による被害がある度に、各国で大陸を出るための検問を強めたり、魔法の制限を抑制してきましたから…」
「それは私に言っても大丈夫なものか?」
「ここまでならば大丈夫です。検問に関する対応策や抑制方法でなければ、調べれば出てくる話ですので」
聞いていた話は、国の管理職らの話が筒抜けというわけではないようだ。
まぁ、ゼイラルがベラベラと重要案件を喋る訳がないな。
「ならばこちらの国でも検問を強めた方が良いだろうな。まぁ、あわよくば抑制方法を聞き出してくれることを役職者達に期待するか」
「そう、ですね」
ゼイラルは苦笑いをして相づちをうってきた。
何か相づちをうちづらい発言を私がし……たな。
「すまない。返事がしづらかったな」
「…はい、少しだけ」
少しではなく相当だろう。
「下手をしなくても国の事を下に見ている発言だからな。だが、離反の話ではないから、別段何もいわれはしないぞ?」
「ロイ様。それは貴女様だからです」
「ん?そうなのか?」
「はい」
ふむ。そういうものか。
「そうか。ゼイラルは発言は気を付けてくれ」
「もちろんです」
どうやら発言の重要性を危惧していなかったのは、私だけだったようで、ゼイラルは『当たり前です』と含むような返事をしてきた。
まぁ、私がもし国に不満を持つことになったら、さっさと出ていって気ままに旅でもするがな。
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