321.結論。この感情は…?
――バタン。
これでアリエスが来るまでの時間を少し稼げるだろう。
私はベットへと腰たけた。
ゼイラルの宣言を思い出したことで、自分の発言も思い出していた。
私は彼に『ゼイラル個人のために時間は避けない』と言った。言ったんだ。
それなのに私はゼイラルを家へと泊め、さらにもう1日自分の仕事以外の時間で彼の話と話をすることを約束した。
そこから思い出せば出すほど、自分の宣言をなかったことのようにゼイラルと接する自分を思い出せた。
はぁ。
友達だからなのか、それもの私も彼に惹かれる部分があったのか?
惹かれる…部分。
先程見た眠たげな表情はやけに可愛く思えた。
心がまだ成熟しきれていない様に助けてやりたくなった。
抱き止めた身体は成人男性とはまだ呼べないが、発展途上な肉付きだった。
真面目な者や青色系統の髪は親しみやすさがある。
だがこれらを果たして恋情と呼べるのか?友情の範疇ではないか?
……
友情ならば、今、思ったことを素直に彼に言えるはずだ。
思うままを言うだけなのだから。
だが恥ずかしいと少しでも感じるのなら、それは心が友情ではなく。
恋情を持っていたならば、言い淀むはず。
私は多分、思ったことを言えるだろう。
しかしきっと恥ずかしいとも感じる。
――ロシュの心は整理され、結論を出した。
――ゼイラルへ向ける感情は友情からではない。と。
「恋か…」
感情への結論が出て、恋だと分かると不思議と高揚感が沸いてくる。
恋をしている相手を思うだけでドキドキと心臓が早まるという経験が……ん?気づいたばかりだからか?ゼイラルを思っても微笑ましくは思うが、ドキドキとはしないな?
――しかしロシュは、ゼイラルに『恋』という感情を抱いているということに、少し納得できなかったようだ。
それはそうだろう。
ロシュの会得した『恋』にはもう1つ別の感情が含まれていたのだから。