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320.まえもってのじゅんび


ゼイラルにも私が今度から話すときは、確認を取るので無理せずにしてくれと伝えた。



「申し訳――」

「謝るのはやめてくれ」

「…はい」



頭を下げさせるのを止めさせた私は、先程の話の掘り下げた。



「それと原因の1つと言っていたが、他の原因はもしや最初に私に宣言をした『ご迷惑をかけない』という言葉と関係があるか?」

「覚えていたんですね」

「先程思い出した」



努力する、という言葉しか強い印象がなかったが、思い出そうとすれば関連で思い出すものだ。

まぁ、今回は関連性などなくふと思い出したんだがな。



「確かにご迷惑をかけないようにし、と私は言いました。それがまさかご迷惑…いえ、被害を出して迷惑では済まないことを起こしてしまった、というのも失神した理由の1つだと今は考えています」

「そうか。話は分かった。話してくれてありがとう」

「いえ」

「ではこれからの話だが――」



ゼイラルと事件の詳細についてはまず、書面を見てから私に話を聞きたいとのことだったので、ならば今日から明日朝までいると良いと伝えた。

急かして読ますのをやめるための泊まりだ。

彼は謝罪の後に礼を言い、話を進めていった。昨日よりは心が強くなっている気がした。


スロウはどんな励まし方をしたんだ…?









時計を見るとそろそろアリエスが来る間近となっていた。それにゼイラルも少し眠たげだ。……。


私はゼイラルに割り当てられいる客室へ戻るように促し、ドアを開けた。



「あ、ロシュ様。おはようござい……ます?」



警備へ戻っていたベガがゼイラルがいることに驚いた様子だったが、気にせず私は彼に挨拶と用を伝えた。



「あぁ。おはよう。ゼイラルのことは気にするな。ただの日程を決めていただけだ。それとアリエスが来たら、事件の資料をゼイラルに渡してから私に挨拶と共に報告をしてくれと伝えくれ」

「は、はい。分かりました」

「ではな、ゼイラル。またあとで」

「はい」



私はゼイラルを部屋から出し、彼が部屋へと入るのを見送った私は、ベガへと言葉をかけた。



「ベガ。腹は満たされたか?」

「はい。申し訳ありません。出来るだけ急いだのですが…サヤンキはしっかりと警備していましたか?」

「私が起きたときにしっかりと立っていたぞ」

「そうですか…。今後はしっかりと食事をしてから警備も護衛もしっかりと勤めさせていただきます」

「あぁ。私は部屋に戻る。アリエスに言伝て頼んだぞ」

「はい」

「それと痛み止めはまだあるから、急ぐ必要はないと付け加えて伝えてくれ」

「はい」



私はベガとも話を終えると部屋へと戻ってく――前に思い出した。



「ベガ」

「はい」

「左の口許に薄切りの小さな人参がついてるぞ。急いで食べてくるのはいいが、乱暴に詰め込むものではない」

「す、すみません。ありがとうございます……」



ベガは恥ずかしそうに口許のおかずをハンカチに包んだのを見てから、私は今度こそ部屋へと戻った。









――とある日の夜。



スロウはゼイラルへと食事を持っていった後、時間を改めてから、話をした。

話し相手となった彼は、自身の持てる話術でゼイラルの心を自責から解放した。

ゼイラルと接した時間の3分の1は自責からの解放、後の3分の2は心を前向きにさせるためのものと雑談になっていた。


そこの雑談では、ロシュのとんでもない手料理に関しても語られ、ゼイラルが他人の失敗談を話しても良いのかと問うたが、ロシュ本人は『作れ』と言われないのなら話されても問題ないのだと、スロウは伝えたのだった。




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