32.謁見。1
その後。しばらくはレイラと談笑を続けていたが、ベガが応接間に陛下の使者と名乗る者を招き入れ、談笑は途切れた。
「グランツェッタ公爵様。お迎えに上がりました。謁見の間へ参りましょう」
「分かった。お前達はここで待機していろ」
「「「かしこまりました」」」
「いくぞ、レイラ」
「はい。おかあさま」
メイド達には応接間での待機を命じ、レイラには声をかけた。
いつもの『とうさま呼び』は、性別を紛らわしくさせる呼び方なため、陛下や他の貴族が大勢いる場所では『おかあさま呼び』になる。
私としては、とうさまと呼ばれる方が好みなのだがな。
使者に連れられ、陛下のいる謁見の間へと到着した。
中に入ると陛下はすでに鎮座しており、横には王妃とレイラを婚約者候補としたノアール王子が左右に座っていた。
私達は陛下の正面まで歩いて行き、2歩後ろで控える形で、ベガとメダが付いてくる。
そして、陛下が声をかけるのを片膝をついて待った。
「ロイヴァルッシュ、良くぞ来たな」
「陛下におかれましてもおかわりなく」
本当におかわりなく……最後に会った時より年取ったのか不明なくらい……いや、髭は生やしたようだがな。それ以外は若々しいままだ。
王妃様は微笑んで出迎えて下さっている。
「うむ。さて。今回赴いてもらったわけだが……ノアール」
「はい。はじめまして、ロイヴァルッシュ公爵」
ノアール王子は立ち上がると、私に挨拶してくださる。
名前呼びで。
「これ、ノアール。いきなり呼び捨てはいかんぞ」
「はい?ロイヴァルッシュが家名では?」
「それは名だ。家名はグランツェッタだ」
「グランツェッタ!?」
名だととがめられたノアール王子は、グランツェッタと聞いて驚いたように私達を見た。ノアール王子とは初対面だ。何か良からぬ噂とかを聞いていたのだろうか?
「ノアール、事前に聞いていなかったのか?」
「婚約者候補の名と年齢、容姿しか聞いていませんでした……」
「ロイヴァルッシュ、愚息がすまぬな」
「いえ。間違いは誰にでもあることです。私は気にしませんので」
事前に名前・年齢・容姿だけしか聞いていないのはどうかと思うがな。
「そうか。ノアール、詫びと自己紹介をもう1度しなおしなさい」
「はい……改めまして、私はノアール・シュヴィノルイングです。グランツェッタ公爵」
「はじめましてノアール王子殿下。ロイヴァルッシュ・ヴィ・グランツェッタです」
「はじめまして、ノアール王子殿下。レイラ・ヴィ・グランツェッタです」
王との血縁関係のある者は陛下と王妃以外は、殿下付けが通常化している。
こうしてノアール王子との自己紹介を終えた。
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