308.覗いていた瞳と…
――コンコン。と執務室の窓を叩く人影に気がついたレオが窓の近くによった。
「アリエス、窓の外にスピオンがいる」
「ロイ様は今集中しているの。切らせたはないわ」
「なら話だけ聞いておく?」
「えぇ。そうしましょう。緊急事態ではなさそうですし」
――レオはアリエスと話し合った結果。ロシュのためにスピオンからの話を聞くことにした。
「ロシュ様は?」
「集中してて話せない」
「なら言伝いい。解決のために少し配置を変えるが…」
「分かった」
「私も聞きます」
「あぁ」
――スピオンは、レオとアリエスに現状報告と打開案を伝えて持ち場へと戻っていった。
――数十分後。ロシュが机にペンを置いたことで、集中が終わった事が見て取れた。
「ふぅ」
「ロイ様。お疲れ様です」
「あぁ」
私はアリエスが持ってきた紅茶を受け取り一息つく。今回は書類に不備が無いかの見直しが主だったが、言い回しなどで不適切な場所もあったため、書き直しも余儀なくされた。
まぁ、多少なら目を瞑られる程度だが直す事のできる時間があるのなら、やった方がいいからな。
紅茶を半分程までゆっくり飲んだのち、私はアリエスに言葉をかけた。
「それで?何か用事か?」
いつもなら茶を渡せば1歩下がるはずのアリエスがその場に留まったことで、なにか用事があることは分かってはいたが、彼女の様子から急ぎではないことが知れたため、休息を急ぐことなくさせてもらった。
「はい。実はスピオンさんからノルイ様の事でお話がありました」
「ノルイの?」
「はい――」
アリエスは、レオと共に聞いたというスピオンから聞いた話を、私は聞いた。
ざっくりと纏めると、ノルイがライラの部屋の窓に鉄格子を付けていた時、その部屋の中から警戒をしたアルタが窓の外を覗きに来た。
彼らは視線がバッチリと合ってしまい、その驚愕でノルイは腰を抜かし、今も立てない状態。
作業が出来なくなってしまったことに彼は落ち込んだと。
そこでその場に居合わせたスピオンは、指示を出されれば完璧にこなせるであろうベガと、護衛の方が向いているイブランの持ち場の交換を私にしようとした。
が、私は集中していたため回りの音が聞こえなくなっていたので、話だけをしていった。
ということらしい。
確かに人員配置の件は勝手にされれば、『連携が取れなくなってしまっては…』、と私なら考え事前に報告をしてほしいと小言を言っていただろう。
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アルタは鉄格子がきちんと設置されているのかを確認するために、ライラに一言告げてから赴きました。
明日の日曜日と14日の月曜日はお休みです。
また火曜日9時にお会いしましょう。