307.感情の起伏2
私のニヤリとした表情を見たレオが、
「ロイ様。悪巧み?」
と、問うように言葉をかけてきた。
「いや。これは、興味を持ってのニヤつきだな」
「…思ったよりもゼイラルに好意持ってきてるの?」
当然の方向の違う問いかけに、私は少し驚きつつも自身の気持ちがゼイラルに、興味ではなく『好意』を懐いているのか考えることにした。
・・・。
――時間にして数十秒の沈黙の後、ロシュは口を開きレオの問いかけに、答えをだした。
「……あぁ。考えてみるととそうかもしれん。だが、『私に恋愛感情を持ってきた変わり者』という興味が転じた好意かもしれないぞ?」
昔は興味から転じて好意を意識すると、相手がその感情に至るまでの感情がどうなっていたのかという興味で詰め寄り、相手から好意を無くさせてしまった事があった。
それ以来ほとんど成りを潜めているが、それが表に出てきているのかもしれない。
「だったらもっと色んなこと聞いてくる。してないからゼイラルの意思を大事にしてる。最初からゼイラルには期待してた?」
「今日は随分と踏み込んでくるな」
「…俺は色んな事聞かれて、やられたから」
かの『好意を無くさせてしまった』相手とは、目の前にいるレオの事だ。
使用人とも別段恋愛してと良いというのは、我が家では許される事だったため、『何故好意懐いたのか?』『きっかけは?』『一目惚れか?それもと意識しだしてのことか?』など、それはもう聞き出せるだけ聞き出した結果。
『ロシュ様。俺はもう恋愛の好きじゃなくて、人としての好きになっ』
といわれ、レオの初恋と私がお見合い以外で初めて好意を持たれた感情が転じた瞬間だった。
その後も何人か同じことになったが、後悔はしていない。
私のパートナーとなるには並の根性ではダメなのだ、というのを私も相手も学べたのだ。思春期には良い学習会となった。
…後悔はないが、悪いことをしたとは思っているんだぞ?
「それは…すまなかったな。あの頃は嬉しさより興味しかなかった」
「仕方ない。ロイ様も初めてだったし。継いだばかりで息抜きも必要だった。けど、それがゼイラルにはいつまで経ってもなかったから、気になった」
「心に余裕が出来て目の前の『興味』に釣られづらくなったのだろうな」
「ということはゼイラルには異性感情持ち始めたんだ」
「どうしてもハッキリとした言葉が聞きたいようだな?」
私はその後、のらりくらりとレオからの追求をかわし、共に執務室へ戻った。
鉄格子設置の様子は執務室からでも見れるからな。
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『興味』は知りたがり。
『好印象・好意』は好感度の上昇。
の解釈です。
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