表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
306/372

306.感情の起伏1


ゼイラルから粗方話を聞き終えたと判断した私は、彼に話を通す事にした。



「ゼイラル。ノルイの手伝いが終わったならここに留まってくれないか?話がある」

「話?」



ゼイラルは不安そうな表情をした。



「あぁ」

「それは今は話せないことなんですか?」



それもそうだろう。

長らく手紙のやりとりなくいきなり『話がある』と言われたら、彼にとっては私との関係性が崩れるような事を想像するものだ。

だがすぐには話すつもりはない。



「仕事を手伝うためにここに来たのだろう?今話しているのは確認のためだから良いが、話したいことはノルイには関係のないことだ。先に予定していたことがあるのなら、それを済ませてからでもこちらは問題はないからな」

「…分かりました。では私はノルイさんの所へ行きます」



ゼイラルは素直に私の言葉を聞き入れると、ソファー立ち上がった。



「あぁ。今はイブランとスピオンも手伝っているから、メインの手伝いを取られないようにな」

「はい」



――ロシュが最後に言った『取られないように』という言葉に、仕事を手伝うために来たのにも関わらず、それを取られてただ見ているだけになってしまっては、元も子もないな……。

と、心の中で思い、ゼイラルは苦笑いしつつ返事を返した。



「アリエス。ゼイラルをダイニングまで連れていってくれ」

「……かしこまりました」



――アリエスは『何故自分が…』と不愉快に思いつつ、それをなるべく出さないように返事をした。


アリエスはゼイラルに『こちらです』と先導するために声をかけるとそそくさと出入りへ向かっていく。

彼は私に一礼するとすぐにアリエスを追って、応接室を後にした。



「ロイ様。アリエスとゼイラルを2人きりにしたら、ゼイラルが小言言われるよ?」



2人が完全に部屋から出ていったのを確認してから、アリエスと共に私の後ろに控えていたレオが、現実的になりうる情景を口にした。


ちなみにベガは部屋の外で待機している。警備の二段構えだ。



「前のゼイラルなら怖じけづき黙り混んでいたかもしれないが、先程アリエスに睨まれてもすぐに返答していた。苦手でも大丈夫だろう」



まぁ、感心と呆れを同時に感じたために、揺らぎなき意思は私の前だから、と見栄を張っていたかもと。

アリエスと2人きりにした時、どういった言動をするのかが気になってしまったのだが。

好意を持っている者と苦手意識を持っている者とでは、心意気も揺らぐだろう。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ