284.長引かせられることはなかった
「――以上が尋問した末に得た情報となります」
「『報告ありがとう』」
男のお陰で警備の甘さが露見できたと思えば、結果的には良かった。
ただ結果は良かっただけだ。本来ならこんなことがなく露見しておくべき問題だった。
報告を聞き終えた私は、彼ら2人に今後の指示を出した。報告はあくまで次に繋げるためのものだ。聞きならがら対策を考えていた。
まず警備に関してだが人員を増やすのは、騎士達との話し合いで決める。人員が足りないのなら、街の騎士から正式に我が家の騎士として迎え入れる者を選出させてもらう。まぁ、その者が了承すればだがな。
次に窓ガラスを魔法を用いて静かに割られ侵入された窓。
そこには鉄格子を内と外から設置する。デザインは二の次だが、もし必要となればクエリアかバルナに任せること。
確か街に鉄格子を造るに長けた職人がいたはず。その者に全面的に頼むこと。資料室に場所が書かれた紙がある。
明日にでも向かって頼みに言ってくれ彼らに頼んだところで、アリエスから『そろそろ休みましょう』と声をかけられた。
『まだ考えることは――』
「ロイ様。先んじて行うことは指示できたのではありませんか?」
確かに警備面が1番大事で、それは伝えられたが…
「ロシュ様。我々騎士としても警備の面での話し合いを今夜にでも行いたいと思いますので、今夜はここで失礼したいと思っていました。ですよね、イブランさん」
「早いに越したことないな」
「『…分かった』」
「結論はロシュ様の体調がある程度回復されてからに致します」
「それじゃあな」
デネヴィーとイブランはそそくさと部屋を出ていってしまった。
私に引き留められて話を長引かせられるのを、回避したのかも知れないな…
それに分かったと言いつつ、次の面談は何時に、職人が入るのはいつ頃が良いなどの話は出来るか?と、話を切る気は無いようなことを考えていたのは事実だった。
2人が帰ったのは、長引かせないというアリエスの言葉を守るためなら、最善な行動だったな……。
私はその日深い睡眠についた。
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明日はお休みで、次は月曜朝9時の投稿となります。
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