28.ふてくされ
クエリアからレイラが起きたと聞いた私はレイラの部屋に向かう。
部屋にはレイラ、ジェミネ、クエリアが荷造りをしていた。
「とうさま!」
「おはようレイラ」
私を見たレイラは嬉しそうにこちらを見たが、
「おはようございます…!聞きましたよ!レオとアリエスを連れて観光に行ったのでしょう!酷いです!私も一緒に行きたかったのに」
私がレイラを置いて外に行ったことで、ふてくされたような顔をした。
クエリアから聞いたのだろう。
「観光ではない。視察だ」
「私は静かにできますから、視察のお邪魔はいたしません!」
「だがな、寝ていたし……」
「起こしてくだされば良かったのです!」
「寝不足は良くないぞ?」
「寝不足よりも、とうさまと一緒に観光したかったんです!」
「レイラ様~?寝不足はお肌に良くないですからやめてくださいね~」
話を聞いていたクエリアが、私の言葉を援護した。
「でもクエリア」
「今日は王子様に会いますからね~一段と寝不足なんてダメですよ~」
「ごめんなさい、とうさま。わがままを言って」
クエリアにも反論しようとしたが、『王子』という言葉にしゅんとし、わがままだったと謝ってきた。
少し可哀想だな……。
「・・・領地に帰ったら視察についてくるか?」
「とうさまっ!!ありがとうございます!」
レイラは隣にいたジェミネに抱きついて喜びを伝えている。喜んでもらえて何よりだ。
少し苦しそうなジェミネが気の毒だが、微笑ましい光景だ。
「ロシュ様もですからね~?」
「…すまない」
クエリアは隣に近づくと、レイラ達には聞こえない程度の小声で、私に注意してきた。
睡眠時間が足りていないことが見抜かれていたようだ。
さすがバルナの娘だ。観察眼が優れているな……。
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