278.行動の先は巧みか悪手か。
7月も終わりですね
私の決意が固まった頃。
「ライラはとうさまと一緒に食事したくないの?」
と、レイラはライラに同意してほしいそうに問いかけていた。
同意すれば、彼も私を起き上がらせるために頑張ってくれるのだろうな。
「…貴族としては中々考え付かない発想だよね。俺たち」
「ふふ。そうね」
レイラが笑みを浮かべ、ライラも笑みを浮かべていることから、同意をしたのだろう。
それにベッドの端に腰かけ、椅子代わりにするなど生粋の貴族ならば、『女性が素足を出して食べるなど、はしたない』とまで言われそうな行動だろう。
…だがベッドの上で座り食べても良いのに、腰かけ食べるのは駄目なのは良くわからないな。
まぁ、そもそも私の寝間着はワンピースではないから、素足もなにもあったものじゃないがな。
「とうさんをベッドに腰かけて座らせるのなら、枕を腰の辺りに置こう。アルタ。となりの部屋から枕取ってきて」
「はい」
「ジェミネは私とライラと一緒にとうさまを起こすわよ!」
「は、はいっ!」
こうして若き者達によって、私はせっせと世話をされることになったのだった。
まず始めに、レイラがロシュにかかっていた掛け布団を剥がし、そのままライラとジェミネの3人でシーツを引っ張り端まで寄せた。
次にライラは仰向けになっていた身体を、傷口を上にするように横に寝そべらせた。
「ここからどうするの?」
「腕と脇腹に傷があるからそこ以外を支柱にして起き上がらせる」
「なら足を下ろしておいて、肩の辺りを持ち上げましょう。足の重みで」
「寝ている人の身体全部を持ち上げようとすると重いしね…」
確かに寝ているのだが、私は起きているのだから、無意識にでも起き上がろうとし軽く感じるはず。
重くはならな――
「あ、とうさん。自分で起き上がろうとしないでね。力を抜いてて」
――い。と思っていのだが、逆に無意識にすら力を入れてはならなくなった。
私がやれることは力を抜き、傷口の痛みに耐えるだけらしい。
ライラの言葉に頷くと目を閉じた。
と、見せかけて片目だけ薄目を開き皆の様子見ることにした。
さすがに何をしているのかは把握しておきたい。
ただ、目を開けて身体から力を抜くのは難しいが、片目程度なら力を抜きつつ様子も見れるというわけだ。
レイラによって味がベッドより下ろされると、脇腹が少し引っ張られる感覚がした。
傷口が伸ばされて痛いが、開いたわけではないため痛み的にはそこそこだ。
「それじゃあいくよ」
ライラと枕を持ってき終わったアルタが私の肩に手を入れ、レイラは太腿の辺りをジェミネは足首の辺りを持った。
そしてそのまま息を合わせ起こすと、私を座らせることに成功したのだった。
だが、その姿を食事を運んできたアリエスに見られていたとは、まだライラとレイラ、そしてジェミネは気づいてはいなかった。
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範囲大きく、ざっくりと説明するのなら、介護の方を起き上がらせるイメージが1番近いです。
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