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269.もどかしく


おはようございます


足は無事だったのだが、大事をとってアリエスの肩を借りつつ、部屋を出て移動開始した私達。

しかし、先行していたレオが廊下の角を曲がると立ち止まった。



「どうかしましたか?」

「心配して部屋から出てきてる。こいつを運べないから、ここで待つ」



アリエスの問いに答えたレオは、反対側にある書斎室の扉の方に男を引きずり直し、道をあけた。


道を譲られた私達は、レオが通ろうとした廊下の先を目指し曲がると、そこには彼の言うとおり部屋の外に出てきていた、ライラとレイラ、そしてアルタとサジリウスの姿を視界に捉えた。


心配になるのは仕方がないだろう。2人の部屋と私の部屋は近い。

いつのタイミングから侵入者を確認していたかは分からないが、私の部屋の方面から大きな物音がしたなら、私と侵入者が対峙していることは容易に想像できる。


私達は悲痛な顔をしている2人に近づいた。

血濡れた服を見て、私が怪我をしたの理解したから泣きそうな顔になっているのだろう。



「とうさま…」

「とうさん…」

「お2人ともご無事でなりよりです」

「「うん…」」



近づいて分かったが、泣きそうなというのは少し語弊があった。

2人の目元は泣いた後のように赤らんでいた。



「サジリウスさん。侵入者の仲間は、確認されていますか?」



傷に触るため、全ての応答はアリエスが行っている。自分で出来ないことにもどかしさを感じるが、怪我人だからしかたがないな。



「いえ。アレ1人のようですよ」

「そうですか」

「アリエスさん。とうさんは喋れないのですか…?」



ライラが喋らない私に、不安そうな表情をした。



「喋れなくはありません。ですが傷は応急処置をしただけですのでこれより本格的な治療をしようとしております」



アリエスは少し早口に私の状態を伝えた。



「とうさまは、死んだりはしないわよね?」



その言葉と表情を見聞きした私は、アリエスにまわしていた手に一瞬力を込めてしまった。


レイラは姉夫婦の――本当の両親と同じに亡くなってしまうのではと、不安になったのだろう。

『自宅』という安全であったはずの場所での今回襲撃だ。不安になっても仕方ない。


あぁ。喋れるのなら慰めて、励まして、頭を撫でてやりたい。




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