265.侵入者1
おはようございます
アリエスの過度な警戒が無くなり、ゼイラルとの接触に制限が付いた話をした日の夜。
久々に読んだ本に夢中になり、いつもより夜更かしをしてしまった私は、今ようやくベッドへと潜ぐりあとは睡魔で眠るだけどなっていた。
――コトッ。
「――!」
私がよじろいで出した音ではない音が近くでしたため、掛け布団を音の方向へと投げた。
いつもならゆっくりと起き上がり、確認するのだが何故か身の危機を感じたのだ。
勘と呼ばれるものだったが、危機を感じたのは正解だったと思った。
「なっ!」
そこには頭からかかった掛け布団にもがく人間がいたのだがら。
私は寝るときには明かりを消す。
しかし月明かりがカーテン越しに入るため、人影は私の目にははっきりと見えた。
身長差はあまりない。先程の咄嗟に出たと思われる声は低いものだった。男だな。
私は男のいる方とは逆から身を退け、ベッドから降り、近くの剣を掴んだ。
掴んだと同時刻に男が掛け布団を自身の体から取り外していた。
「なめた真似をしてくれるな、公爵」
「こちらは勘が働いてくれて助かったがな」
疑問は色々と浮かぶが、私は警戒を最大限にし臨戦態勢を取った。
今、重要なのは時間稼ぎと相手の出方を見て対処すること、そして私1人で出来れば意識を沈める。
侵入者がどれだけ強いかまだ分からないからな。
「ちっ。だがここでお前の命はもらうぞ」
「それは叶えられない話だな」
「俺はここの騎士より腕がたつぞ。何せここまで入ってこれたのだからな」
腕がたつ?それはない。
私は警戒しつつ、相手の男が私の話に対応したのを見聞きし、三流の暗殺者だと見定めた。
一流ならば、話す間もなく『失敗』を悟ればすぐにでも撤退するはずなのだが、こいつは全くそんなそぶりもせずにいる。
「それは勘違いだな。この屋敷で腕のたたない人間はあまりない」
「お前の目が節穴なだけだろう」
「節穴?それは自分のことだろう?」
「そんな挑発には乗らん。痛みを感じる間もなくお前を葬ってやろう」
男はそう言って剣を構えた。
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