259.文通1
――あれから約数ヵ月。
ゼイラルからの手紙を自室で読んでいた私は、ふと手紙を保存してある箱を見た。
「48、49……これで50通目か」
量があるなと思い数えてみた結果。
今回のを含めて50通もやり取りしていたようだと気がついた。
ゼイラルからの初めての手紙は、会った時にも受けた謝罪から始まった。
しかし、長々と謝罪を記してあった訳ではなく、手紙の入りをどうしていいのか分からなかった、という理由で書いたらしい。
確かにと関心しつつ手紙を読み進めると、ゼイラルは我が家から1番近い街に住む手はずを既に整えていたため、現在は職を探しているらしい。
騎士だった頃に貯めていた金は、家と家具の購入で半分程使いきり、しばらくは働かなくとも良いくらいにはあるが、何もせずにいることは自分にはできない、と自分に合う職を張り切って探しているようだった。
ゼイラルの要望を聞き、街の店舗を熟知している私が探した方が早いのだろうが、それはしなかった。
いや。できなかったの方が正しいな。
私としては知り合いが路頭に迷ってはと思い、職探しを手伝おうと思ったのだが、アリエスから駄目だと言われた。
曰く。
『ロイ様の恋人を目指しているのならば、こちらの力を借りず自らの力だけでここの生活に慣れていただいた方が、彼の為です。ですので仕事の紹介や助言などは、職が見つかるまでお控えください。……励ましや鼓舞ならよろしいと思います』
と。助言を受け、『頑張れ。そこの領民も優しい者が多い』などの言葉を綴った。
それから3通後に職が決まったとの報告を受けた。どうやら飲食店のウェイターをするようだった。
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あ。七夕ですね。