258.秘密は秘密のままで、だな
おはようございます!
スロウは私の言葉を聞くと、私が失敗談を知っていることを思い出したような表情をした。
多分、これ以上の心配は要らないとでも思っているのだろうな。
「そうですよね…ロシュ様が俺の話を知っているのならば、失敗しませんよね」
「だが直接の助言だからな。心に止めておこう」
結果が『妻』となっただけで、1つでも間違えていれば、ここで雇われ続けてはいなかっただろうからな。
スロウの貴重な失敗談は、私がそれを経験しないようにするいい話だ。
素直に受け取っておくのがいい。
「さて。サヤンキが来る前に朝食の準備を始めた方がいいだろう」
「そうですね、あいつには知られていないですし――」
「――何が知られていんすか?」
この話をしていてサヤンキが来ては聞かれると思い、中断した直後。その彼が調理場へと入ってきた。
「あ?、お前いま来たのか?」
「朝食の準備を――の所とからっすけど……?」
サヤンキの言葉に私は、『聞かれていなくて良かった』と安堵した。スロウも安堵しただろうな。
「ならいい」
「なんすか!俺だけ知らない秘密の話すっか!それどんなことなんですか!スロウさん!」
秘密の話をしていたのだと感じたサヤンキが、スロウに詰めより自分がいなかった時に話していた事を、自分にも話せとせがんでいた。
「お前には言わん!」
「なんですか!」
「いいから調理始めるぞ!」
「教えてくれてからでも――」
「ロシュ様が起きられているんだ!ライラ様とレイラ様もすぐに起きられるってことだぞ!手を動かすぞ」
「なら終わったら――」
「教えないと言ってるだろう!」
「えー!!」
是が非でも教えないというスロウに、落胆の声をあげるサヤンキ。
だが彼の性格上、今日1日は何としても聞き出そうとするだろうな……。
心の中でスロウへの応援の言葉を思うと、調理をし始めた2人に声をかけず調理場から出ていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もしよろしければ感想・ブックマーク・評価などお願いします!