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256.失敗談は広めずに、

翌日。


朝食前に接触したスロウは挨拶をそこそこに真剣な眼差しで、ゼイラルとのことを心配された。



「ロシュ様、いいですか。文を返す時は、思ったままに書いてはいけません。相手の表情が見えないんですから」

「それは分かっている」

「分かっていても忘れてきてしまう、ということもあります。書類とは違い、自分自身の口調のまま書ける利点もありますが、それが逆に――」

「スロウ。自分自身の経験を話してくれるのはありがたいが、私とて分かっているぞ?」



そう。

スロウは過去に妻となったクエリアとの過去の文通にて、甘い言葉を書いた。

彼としては親密になるために、思いの丈を赤裸々に綴ったつもりだったのだが、彼女はそれを良い気分では受け取っていなかった。


それもそうだろう。

まだ知り合って間もない男から『貴方からは自分の心が癒されるような香りがする』『貴方の髪はきっと絹のように滑らかな手触りなのだろう』と書かれたで紙が来ていたのだから。

これが数年の下隅があり、知り合いの状態から始まった文通ならば、長年恋い焦がれていたのかと取れるが……スロウがこの言葉を送ったのは知り合ってから10日程だったらしい。


しかも。2人は職場を同じくしており、毎日顔を合わせる。

普段接していた感じと手紙の内容が違いすぎたのも、スロウの言葉が本心な訳がないと思われた要因なった。


クエリアはそれからどうしたかというと、母――つまりバルナに指示を仰いだ。

『同僚となったスロウという人物から、好感の持てない手紙のやり取りをしている。どうしたら?』といった内容を。


すぐにバルナとそしてサジリウスに詰め寄られ、自分の思いの丈を語った。


思い人に思いがくことなく、その親達に先に自分自身の心を語ることになった恥ずかしさは、スロウの中で誰にも語り継がれたくない話である。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



スロウがしていたことを、ざっくりと大きく括ると『ポエム』になるかもしれません。

ただ彼としてはクエリアに優しくあろうとした結果、知り合って間もない彼女に重すぎる愛を書いてしまっただけです。

話し合いで理解を得られて良かった。



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