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245.いるはずのない


ミナージュとザンクが使用人となり数週間が経ったある昼下がり。

打ち稽古をしていた私の耳が、馬の蹄の音と車輪の回る音を聞き取った。

相手をしていたレオも聞こえたようで木刀を置き、剣を携帯した。



「アリエス。誰かくる予定はなかったはずだな?」

「はい。訪問がある日は早くとも明後日です」



私と同じく予定を全て熟知しているアリエスに再確認を込めて聞いたが、やはり今日誰かがここに訪ねてくる予定はないという。



「レオ」

「わかった。見てくるから待ってて」

「頼む」



私の指示を読み取ったレオが馬車が来たであろう表へとかけていった。


早馬ならば来ることはあるが、明らかに対話を求め馬車に乗ってくる予定のない人物の訪問が多くて困るな。うむ。



「いっそ立看板を検討するべきか?それとも書類を配布した方がいいか?」

「両方した方が浸透すると思います」

「あぁ、ありがとう」



意見を言いつつアリエスは私にタオルを手渡してきたので、汗を拭き、レオの帰還をこの場で待つことにした。


それと先程聞いた案件については要検討ということになった。







暫くレオの帰還を待っていたのだが、こちらに足音が複数向かってくるのが分かった。

まさかと思った。


私への訪問者なら応接室に連れていくはずだ。…我が家では『客人』や『警戒する者』を応接室に通すのだから。


だとすると……と考えたが、レオがここに連れてくることも厭わない人物などほとんどいないはずだ。

言っては悪いが、彼はここの使用人ら以外に親しい友人はいないはず。

顔見知り程度で騎士寮の裏手にあるこの広場に連れてくるか?


などと考えていると、訪問者を連れてきているであろうレオが、角から現れた、その後ろから青い髪をした――



「…ん?」



――ゼイラルが現れた。


私も驚いているが隣にいるアリエスも少なからず驚いていた。


それもそうだ。彼とは王都で別れたはずなのだから。

だがゼイラルであるならば、レオがここに連れてきても不思議はない。

騎士であり、なおかつ顔見知り。私に用があったとしても、応接室に通すまでもない程には信頼関係が築けている。


そしてレオに連れられ、私の前まで来た彼をじっと見るが、紛うことなき異国の客人であり、知り合いとなった人物のひとり。

ゼイラル・ムーロンだった。



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