243.嫌いではなく、苦手らしい
プロキノは途中にリスラが起きても話を続け、私の元へ来たアリエスに飲み物を頼んだと思えば、また話を続けた。
私は『話が長い』『そろそろ終わりにしたい』とは思わなかったため話を聞き続け、アリエスもリスラから離れた位置のの埃を舞わぬように掃除し始めたりしていたため、止めることはなかった。
話が途切れることになったのは、ミナージュへの説明を終えたであろうバルナが来たことで言葉を紡ぐことをやめた。
プロキノは私と同じく異性の服を好んだため、よく小言を言われていたりしたせいで、苦手意識を持ってしまったらしい。
バルナは私での経験があったため、『異性の服を着ては駄目』『男の子らしく』などという言葉は使わなかったが、せめてマナーはしっかりと、とはりきった結果。
貴族のマナーはプロキノには合わなかったため、苦手意識を持たれてしまった。
ここで『嫌い』ではなく『苦手』だという理由を本人から聞くと、
『マナー教えてくる以外は別に嫌いじゃないから。でも見てくる視線がたまに『そこのマナーは違う』って言われてるみたいだから…』ということらしい。
この話を聞いた時、私は『バルナ1人で良かったな』という言葉を飲みこんだ。
言ってしまえば、バルナ以外にも苦手意識を抱いてしまうかもしれないからな。
両サイド、正面から監視されるような視線を受けつつ食べたご飯は、毎回味が薄く感じたなぁ…
それから私を迎えに来たバルナによるミナージュの報告を受けた。
彼女は私の事を想う以外は有能な人間であり、メイド職もこなせる人材らしい。
報告しにくるに辺り残してきたミナージュだが、サジリウスに執事寮にいるザンクと引き合わせるように告げてきたらしい。
恋人達の感動の再会か…?うむ。
「ロシュ様覗きに行こうとしないように」
「ロイ様覗き見はお止めください」
「顔に出てたか?」
私の言葉に同意した一同に諦めの心を持った。
覗くというよりは『見守りたい』だけなんだがなぁ…まぁ。やめろと言われればやめるが、後で話を聞くくらいはいいだろう。
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プロキノがグランツェッタ家に仕える執事、もしくはメイドとなることがない理由の1つがマナーの不十分さである。