235.恒例の風呂へ
我が家へ帰した私達は、馬車を降りると門の側で待っていたイブランから告げられ移動をした。
本来ならプリリル家でついた匂いを落とすため、我が家の風呂へと直行するのだが『換気や消臭が大変だ』という結論に至った使用人達の結論により、1番近い騎士寮での入浴となった。
だが騎士寮には男しかいないため、私がそこの風呂場を使うのは…というクエリアの意見もあったらしいが、人払いをすればただの風呂だとメイド長バルナの発言により、今に至る。というのを道すがらイブランから聞いた。
まぁ、帰ってきたら風呂に向かうとしか決めていなかったはずだから、何処の風呂だろうが良いのだがな。
それから私とライラは寮の中の別々の風呂場へと入り、匂いと汚れを落としているが、落とすのは我々だけでなく共に行った使用人者達もだ。
ただ、風呂場は我が家と同じく2つしかないため、レオとオリオンは寮の外で私達があがるのを待ってくれている。
早めに済まして落とさせてやらないとな。
「あの…私までしてもらわずとも自分で出来ます、ロイ様…」
「たまには良いじゃないか」
洗い落としを終えた私は、手伝ってくれていたアリエスの髪を洗っていた。人にやられた方が入念に満遍なく落とせるのは、メイドらにやられていて経験済みだ。ならば私もやってやらんとなぁ。
本人は先程から自分でできるといい、後ろを振り返ろうとするが、すぐさま前を向かせた。
言い合いになれば五分五分だが、力ならこちらが上だ。強引に進めてしまえば、あとはなすがままになってくれるだろう。
案の定数回続いた押し問答は、アリエスの髪から匂いが落ちるまで黙って洗わせてくれた。
その後背中もと思ったが、壁に背をつけ『自分で洗えます
ので!』と言われてしまった。
……ライラやレイラが洗わせてくれないからアリエスならと思ったんだがな。私だって洗ってやりたいと思うのだ。だが仕方ない。嫌だと言われてはこれ以上はできない。
しぶしぶアリエスの背を洗う事を断念し、身体を暖めるため湯船へと浸かった。
まぁ、嫌がらない相手に頼めば良いだけだがな。
アリエスに先にあがる事を告げ、この寮の共通のリビングに出た。待機していた他の騎士に言葉は違えど『ちゃんと服を着ろ』と言われた。
肌着とパンツだけで出たのがいけなかったのだろう。
髪が乾いていなかったからシャツを着なかっただけなのだがな。
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この国では香水を自分で造ることができますが、貴族は手を抜いて造ります。
手抜きされた香水は販売されている香水より匂いが落ちにくくなっています。
ただ、騎士などは汗臭さを取るために重宝しているとか。
しかしそれを付けすぎてその匂いにだけを嗅ぎとれなくなるという事例も出ています。
香水がキツイという指摘は、貴族に対してはあまり使ってはいけません。
先程記した通り、騎士などの汗臭さすら消すことが出来ます。つまり指摘するということは『臭くて使っているのか?』ともとれるため、堪えるかその場所から撤退するかの2択となっています。
ただ一部貴族の間では『消臭』なる香や香水を使っているとか…?
(この小説内にある設定となります)
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