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233.共通認識



私の中の感情、考えがスッと纏まった所で、プリリル夫妻を見据つつ話しかけた。



「プリリル公爵」

「…はい」

「私としてはこれまでの貢献度を考え、追放だけは免除してもいいと考えている」

「この領地に居させていただけるのでしたら、全て妥当とお答えします」



妥当。

つまり私が提示する内容に対して、聞く前から『肯定』を宣言している、ということだ。



「あなた?なんの話をしていらっしゃるの?今はユユモと――」

「黙れ。私が良いというまで決して口を開くな」

「なっ!」

「破るというのなら今すぐ身一つでここから出ていかせる」

「……」



夫人を黙らせたプリリル公爵の威圧は、仕事時を彷彿とさせた。



「申し訳ございません。続きをお話いただいても?」

「あぁ。これから話す全てが妥当とするのならば、この屋敷だけはこのまま持ち家として所持を許す」

「ありがとうございます…ですが、私としては娘達の教育に関して寛大な処置を望みます」

「そうだな。私としても未来ある若者に学を持たせないというのは気が引ける。だが、学生でない長女・ネネマに家督を譲り、爵位を持たせることは出来ないぞ。今回は『一族』なのだから」

「はい。承知しています」

「ならば次女以下の3人には学院に通うか、住むかをして学を身に付けさせよう。寮生となるかは本人とプリリル公爵に任せる――」



それから私が話す内容に夫人は、娘達の話を聞いている時より驚愕し青ざめていった。


驚愕したのは自分達『プリリル』から『公爵』がなくなると聞いたから、青ざめたのは自分のしたことの重大さに気がついたから。


その姿を見て私はプリリル公爵に、夫人は定義に関しての内容を知らなかったのかと聞いた。

彼は夫人の親が立派な公爵だったことから、こちらに嫁ぐ際の学識を叩き込まれたものだと思っていたらしい。

数十年も一緒にいてなぜ気づかなかったのかと問えば、仕事の話をしても質や金額の話しかせず『領主』とはなんたるか、そして自分達『』がどういう立ち位置なのかという話にはならなかったそうだ。


夫人にも問うたが、仕事や領地より茶会や舞踏会などを楽しみ、我が子を着飾ったりする方が興味があったという。

だが、最後の方には声が小さくなりながら、『友人達とグランツェッタ公爵の話をした時、見下す発言には気を付けなければダメだと言われていた。同じ『公爵』なのだから何を気をつけることがあるのかと、聞き流していた』と発言した。


この言葉にプリリル公爵は悔しそうにし、夫人は後悔をしているという表情をした。夫婦で共通認識の確認しておけば、とでも思っているのだろうな。


私はそんな2人には気を使わず、そのまま最終結論まで言葉を畳み掛けた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



例のごとく、明日は4のつく日ですのでお休みです。

また5日の9時に!







ps.『朧嶺月』の名でTwitterをやっております。6割が予約投稿のツイートですが、残り3割は世界観の一部を何とかして創作した画像等が載せられていますので、ご興味がある方はちらりと覗いていただだければと。


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