232.定義
プリリル公爵に言った『あってはならないこと』。
これは領主に対して行ってはならない行動や言動を示している。
そして夫人は『正当な理由なく領主の地位を脅かす行動や言動を起こしてはならない』という定義に接触した。
『プリリル家の産業はグランツェッタ領に必要なもの。無くなってしまっては…』
この言葉を他人が言うのなら、それは無くなられては困る、なくなってほしくはない、と受け取れるだろうが。
プリリル家の人間が言うとなると話は違ってくる。脅していると捉えられても仕方のない話だ。
しかも夫人はこの言葉の前に『ライラを婿養子にしたい』という話をした後、『それに』と付け加えた。
これは『ライラを養子に出来ないのなら、グランツェッタ領からプリリル家が担う産業に手を引かせても良いのか?』と言っているようなものだ。
仲が良い家同士や者同士なら『冗談だな…』と判断されるだろうが、こちらは『ライラとユユモの婚約破棄』をしに来たのだ。
交渉を長引かせ、あまつさえライラを養子とふざけた事を言った後、領民の生活を脅かす真似をしたのだ。もう寛容にはなれない。
…だが1番許せないのは、私がライラの事を蔑ろにしているかのような発言だ。
私は姉から託されたライラ達を自分の籍に入れたその日から、姉や義兄の変わりに2人を愛し、人並みに育てると決めたのだ。
両親との触れ合いが1番思い出しづらくなる程幼くして亡くしたのだ。
その分、色んな事を経験させ、時に2人の両親がどんな人物だったのかを語り、成長を見守ってきた。
それを蔑ろにされるということは、2人に与えた経験や私がしてきた事が無駄だったと言われているようなものだ。
ライラとレイラは私に反発や意義をきちんとする。場所や状況にもよるが『嫌だ』とハッキリ言えるのだ。
…ライラに言っておいて自分でしてしまうのは、年長者としてダメなことだが、少しくらい怒りに任せたいと思ってしまってもいいだろう。ちゃんとした理由もあるのだし。
ともかく。
定義に反した場合、原則処罰対象となり、内容は『領主』に任せられる。
命を奪う、生活と幸福度を脅かす程過度でなければ、何でも良い。
プリリル公爵はこの事を全て知っている。
だが、夫人の方は知らなかったのか、それとも忘れているのか…どっちにしろもう彼らを切ることは決定しているがな。
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『定義』『処罰』の内容はこの国のみ適応されるものである。