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229.プリリルとの3


――バンッッッッ!!!


と、夫人によってテーブルが強く叩かれた。本人は気にしていなそうだが、痛そうだな。



「先程から聞いていれば、ずいぶんとそちら本意ですのね」

「えぇ、まぁ。その――」

「大体、子の気持ちを優先するとはなんです?ではユユモの気持ちはどうするのです?ユユモはライラくんを好いていると知っているのでしょう?それなのに、『好いていないから』というライラくん1人の気持ちでユユモはどうなっても良いと?だから泣かせても良いと?そんなの納得出来ませんわ!」

「……」



私の言葉を遮ってまで紡がれた夫人の言い分は分かる。分かるが…



「それに。我々は貴族ですのよ?政略結婚なんてよくある話でしょう?婚約して結婚してからでも愛は育めますわ――領地を納めているのだから、政略結婚がどれだけ発展に繋がるのか分かるでしょう?」

「政略結婚の重要性は理解さています。ですが――」

「分かっているのなら婚約破棄はなしで良いでしょう?!ライラくんもユユモを慰めてあげて」



破棄するのをやめろという夫人。

それにまた言葉をかけようとして遮られた。怒りでこちらの言い分を聞こうとしないじゃないか…


この婚約話はプリリル公爵が『そちらの事は分かっています。それでも、婚約を考えてほしい』と言われ、バルナやサジリウスにも意見をもらい引き受けたのだ。

まぁ、プリリル公爵へと手紙を返した日は仕事が忙しすぎで、婚約話をすっかり忘れてしまい、ライラには返事の手紙が来てから話すことになってしまったがな。


こちらがライラとユユモの婚約を断ったとしても、このように怒られるのは納得いかんな。


そもそもだが、話を持ちかけられた時点で断ることもできたのをしなかったのは、これまでのプリリル公爵の働きに対する譲歩だと、公爵は分かっているだろうに。


はぁ。夫婦で最初の前提を共有しておいてほしいものだ。



「夫人。いくら言われようとこちらの破棄の意思は変わりませんよ」

「なんですって?」

「こら。もうやめないか」

「やめるってなんです?ユユモが――」



夫人を宥めるために声をかけたプリリル公爵だが、痴話喧嘩に発展しそうじゃないか。


これでは言葉をかけようにもまた遮られては困る。

プリリル公爵が宥めてくれるのを待った方が、穏便になるか…


まぁ、帰るのは遅くなってしまうがな。




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