228.プリリルとの2
ぎこちない雰囲気を晴らすように、プリリル公爵が我々に座るように促したため、彼らが座るのを確認してからライラとソファーへと腰かけた。
「では早速」
「まぁまぁ、時間はありますし、まずは馬車疲れの休息を取りましょう。今、使用人が飲み物を持ってきているのでね」
「途中で出されれば飲みますので」
プリリル公爵の好意を受け取らず、話を始めたいという姿勢を崩す事はしない。
「……では、まぁ、始めましょう。……こちらとしてはこのまま婚約を本契約として良いのですがね」
「私はライラ様のお嫁さんになりたい!」
父親の言っている意味を分かってか、ライラへの一途な思いを付け加えるユユモ。
「最初の通り、こちらはライラの意思を尊重します」
だが…
「ライラ様!私と夫婦になりましょ!」
「…私は、ユユモさんとの婚約を破棄したいと考えています」
彼女の想いは報われることはないのだ。
「えっ」
「どれだけユユモさんが私に好意を抱いてくれようとも、私がそれに応えることはありません」
「ライラさまぁ…うそ、…うそだぁ…」
ユユモは涙を流し、嫌だ嫌だと泣き続けた。
止まることのない泣き声に、プリリル公爵は話に参加させ続けるのは無理だと判断し、使用人にユユモを連れていかせ、部屋から出した。
「ユユモが泣いてしまい申し訳ない。だが、もう少し言葉を選んでも良かったのではないかな?ライラくん」
「オブラートに包んで、好意の可能性があると感じられてしまったら申し訳ないと思って、ハッキリと断りました」
「断る…つまりは婚約破棄をしたいということですか?グランツェッタ公爵」
話し相手をライラから私に移すプリリル公爵に、私もハッキリと事実のみを伝えた。
「プリリル公爵。この婚約話1番の重要事項は本人の意思です。ライラがユユモさんを無理だというのであれば、破棄。受け入れるのであれば結ぶ。という意味であると分かっていましたよね?」
「……」
「ライラが今まで感じたユユモさんの行動や言動が自分には合わない、と。泊まってみてハッキリと分かったそうです」
ただ唯一、ユユモの良い点をあげるならば、『一途さ』だろうとも言っていた。
揺らぐことのない意思を持っているというのは『パートナー』を支える上で1番持っていてほしいものだからな。
私もライラの言っていたことには同感だった。
ライラでなければ、ユユモの恋も実っていたかもしれないな。
「おかあさまの言っていることは事実です」
プリリル公爵は考え込むように黙り混んでしまった。
まぁ、破棄に変わりはない。
この人が『分かった』と言葉をくれれば、この話は終わりだ。…できれば今考えている事を、早くをまとめくれるとありがたいのだがな…さすがにせかす真似はやめておこう。
だが、この沈黙がいけなかったのだろう。彼女の沸々とした怒りが、静寂で開け放たれた。
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