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227.プリリルとの1


――プリリル家前


馬車を降りるとプリリル家の使用人が、我々を出迎えた。前の御者の場から降りてきたアリエス。シリウスはどうやらいない。


つまりアリエスはシリウスに変わって御者を勤めたということだ。はぁ。



『後で小言くらいは言わせてもらうぞ?』



と、アリエスに小声で話しかけると彼女は頷いた。


その後、馬と馬車をそのうちの数人に任せ、残ったプリリル家の使用人に付いていき屋敷へと向かう。


中に入ると、私は視線で辺りを見た。

さすがに玄関口で出迎えるようなことはしないかとホッとしつつ、案内された応接室へと向かった。


その間、ライラやレオ達は言葉を発してない。私とここの使用人のやり取りを黙って見守っている……わけではなく、ただこの家の中に香る匂いに耐えているだけだ。

どうして屋敷中に匂いを充満させるのだと考えつつ、私もうっすらと口を開け、鼻呼吸をなるべくしないように専念した。





応接室の前ににつくと、部屋の扉が開けられる。


プリリル公爵とその夫人、それからユユモはこちらの訪問を確認してから立ち上がると、我々を出迎えた。

私達はプリリル公爵の方へと歩みを進めた。



「ようこそ、グランツェッタ公爵」



レオ達使用人は、常に私達の後ろに位置する場所で待機してくれている。口を挟むことはないだろう。



「いえ。今日にしたのはこちらですからお気にならさず――」

「ライラ様っ!」



私とプリリル公爵の挨拶を遮る、とまではいかないが食うように待ちきれなかったと言わんばかりにライラの名を呼んだユユモは、ライラへと駆け寄り、抱きついた。


が。ユユモもにとってもプリリル公爵にとっても、ここからがいつもと違う対応だろう。

子供に可哀想だとは思うが、こちらも嫌なものは嫌と言いたいのだ。



「ユユモさん。離れてくれませんか?」

「え?」



案の定、ユユモ驚きと疑問の表情をしながらライラを見た。



「ですから離れてください」

「ど、どうしたの?ライラ様…」



そんなユユモに目もくれずライラは淡々と離れるように促し続けた。



「ユユモさん。離れてください」

「っ!」



『離れて』という意味の言葉しか発し続けないライラに、さすがのユユモも身を引き、プリリル公爵のもとに戻り、その近くにいた夫人へと抱きついた。


…夫人が睨むように私を見ていたのは気のせい、ではないだろうな。



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