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226.突き放せ


馬車に揺られること数十分。いや、ゆっくりと向かってもらったから1時間弱程。

目的地であるプリリル家近くへと来ていた。


もうすぐ指定した時間に到着するだろうから…多分、待っているだろうな。



「ライラ」

「うん。分かってるよ、とうさん」



私の呼び掛けにライラは分かっていると答えた。分かっているのならとは思うが、やはりな。



「言葉にして確認することでさらに奮起できるんだ。私もいつもより心構えを整えたいしな」

「とうさんでも緊張するんだね」

「まぁな。今回はプリリル公爵だからというのもある。さて――」



私は一呼吸してから、目の前のライラを見据え、実行する行動を指定していくと共に、確認していく。



「――馬車がプリリル家へとついたらユユモが抱きついてくるだろう」

「はい」

「だがいつもより冷たくあしらえ。緊張してると思われても良い。自分はユユモを拒絶しているという示しが大事だ」

「はい」

「それからプリリル公爵側が、あたかもライラとユユモが相思相愛という前提で話を進めようとしたらお前が話を遮ってでも否定しろ。理由は先程と同じだ」

「失礼にあたると分かっててするのが肝心、なんだね?」

「そうだ。失礼をしていると分かっていてでも否定したいこと、と思わせるのだ」

「分かった」



今の話を聞いたライラの反応を見るに、8割ほど予測していたものだったのだろうな。



「今の2点だけを守ってプリリル公爵達と接しろ。だがさすがにユユモを力ずくで離したり、怒声で否定することはやめてくれよ?」

「俺にそこまでのことは出来ないよ!」

「それもそうか」



出来たとしてもまだ可愛さがあるからな。ライラは。



「…そう言われるとなんだかモヤッとするんだけど」



不貞腐れたような顔をされても、可愛いいだけだ。とは口にしない。顔にも出さない。そっと記憶の中にしまっておく。



「…それは心の何処かで、衝動や感情的になりたいと思っているからだろう。貴族は感情の負の起伏がなければないほど良いからな」

「とうさんも思う?」

「フッ。私だぞ?顔にはあまり出ていないが、いつでも制したいと思っている。剣術でなら負ける気がしないからな」

「頭の中で収めてるんだね」

「あぁ。サッとやってる。考えすぎるとニヤけてしまうからな」



さすがに命のやり取りにはワクワクしないが、試合や打ち合いなら楽しいと思える。



「…本当に楽しそうにやってるもんね」

「剣術と文字ほど楽しめるものはないな」



――ライラの頭には『女性としれそれは…』という思考がよぎったが、すぐに『とうさんっぽいな』という上書きが瞬時にされたのだった。



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