222.すべはもっていたのだ
昼食後。
明後日プリリル家へ向かうことをライラに伝えたが、使用人経由ですでに聞いていたようで、納得してくれた。
「ライラは話を聞いたとき、凄く嫌そうな顔をしてましたよ」
「したくもなるよ…こんなに早くまた会うはめになるなるて…」
レイラの言葉に項垂れるライラ。
……。うむ。
「ライラ。確認するが、ユユモと婚約する気はあるか?」
「ないっ!趣味趣向とか性格的とかも俺には合わないから!」
好き嫌いをする子供のような怒気、それでいてきちんとユユモの事を考えた上で無理だと判断したライラ。
感情だけで動くことはなくなった、と成長を嬉しく思う反面、こどもでは無くなっていくなと少し寂しさも感じた。
しかし、ライラの心からの考えを聞けたことで、私は決心した。
「そうか。では明後日赴く際には婚約話を正式に断ろう」
「いいの?」
心配そうに見つめてくるライラ。レイラも同じように思っているようで、こちらを見つめてきている。
「今まではふわっとさせていたが、ライラが今後のプリリル家との関係性のことも考えず出した答えだ」
「ごめん、とうさん……」
「いや、言い方が悪かったな。最初からプリリル家と今後どうなろうと、ライラの気持ちだけを優先させれば良かった、と思ったのだ。決して我が家が損をするような考えをしてくれた、とは思ってない」
「とうさまがライラの気持ちを分かってくださらなかったのかと思いましたわ」
「はは、すまないな。私はプリリル公爵という人物に遠慮していたようだ。父より前の代から領地を共に良くしてくしてくれていたのだから、とな。そもそも我々は『政略結婚』を断れるのだ。今それを持ち出しても誰も文句は言えんだろう」
私もまだまだ未熟ということだ。
最初から断るだけの口実を持っていたのにも関わらず、それを使うのはどうなのだ、ライラは本当に望んでいることなのか、と考えてしまった。
レイラの時は王族という大きな権力者だったため、思う存分使わせてもらったが、同じ地位、共に領地を発展させていく者だからと、遠慮してしまっていたのだ。
貴族なのだから持っているものを振りかざしても、同じ貴族同士なら咎められはしない。
もちろん本当に力をむやみやたらに使ったりはしない。
「ふふ、そうでしたわね」
「俺は先祖様の恩恵を受けるんだなぁ……」
しばし先祖様の話題で話をしたのち、それぞれの予定へと動き出した。
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