表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
221/372

221.使者


翌日の朝食後。

いつも通り仕事に勤しんでいると、ふと視線を机の書類から正面へと向けると、驚いた様子のアリエスが立っていた。

私も少なからず驚いた。



「いつからいた?」

「たったの今、参りました。ちょうどお顔をあげてくださり、ロイ様のお仕事の邪魔をせず、すみました」



偶然で起こった驚きだったか。不穏でない気配はなかなか察知出来ないものだな。



「そうか。なにか急用か?」

「はい。プリリル公爵家から使者が来られています」



使者が…?昨日の今日だぞ?



「…何の用件かは聞いたか?」

「昨日、お話しされた『後日』を決めに来たとのことです」

「手紙で良いものを…はぁ。また応接室か?」

「はい。お飲み物を出し待ってもらっています」



となると昨日と同じ流れになるか。



「昨日の香はまだあるか?」

「スピオンさんが余分に置いていかれましたので」

「なら使者が帰ったら昨日と同じようにしてくれ」

「はい」



私は椅子から立ち上がり、応接室へと向かった。

使者だからか、プリリル公爵よりは足取りは軽かるかった。








プリリル家から来た使者は、やはりあの香水の匂いを漂わせていた。

彼が緊張してるのが分かるし、こちらも早急に帰ってもらいたく話を簡潔に進めた。


話し合いは使者をこちらのペースに乗せたまま、トントン拍子に進ませることができ、プリリル家へと向かう日取りが明後日に決まった。

これがプリリル公爵本人ならばズルズルと話が長くなったり、最悪『泊まりで今日からライラだけでも』と言いかねない。


話が纏まると決まった話の内容を、アリエスに持ってこさせて紙に書き出していくと、使者へとも持たせ帰ってもらった。

レオは馬車までの見送りをしに行ってくれた。


話し合いにかかった時間は約10分。本当に早く終わった。


使者が去った部屋に残った私とアリエス。



「昨日よりは匂いがついてないな」

「はい。ですがついてしまっているのにはかわりがありませんので、香を炊いておきます。ロイ様はお仕事に戻っていただいて構いません」

「そうさせてもらう。今の話はライラの専属達に話しておいてくれ」



執務室へと帰った私はそのままやりかけの仕事を片付けいった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



――不穏な気配。

殺気・嫉妬・疑心・監視などが含まれる気配のこと。

(この小説内で)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ