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220.バルナ・ボールデングは


第2の母、または祖母と言っていいほどバルナには信頼を置いている。

かといって他の者が信頼ならない存在、という訳ではない。


そのバルナが『誰かに教えることに熱心になっている』と聞けば、1番可能性のある考え――バルナがメイドを辞めるという結論を持っても仕方がないと言える。



「えぇ。ですがそろそろ私も歳を感じるのです。覚えも先代がいた時より落ちたと自負しています」



バルナが私の言葉に反論せず、『引く=辞める』の話を続けたため、やはり…と小声で言ったのだが、シーンとした部屋には小声でもはっきりと聞こえることもある。


バルナは聞こえたのだろう。困り顔で微笑んだ。


それに歳を感じるといわれても、見目はまた40台に見え、私は心の中でまだまだやれるのだろう、と思う。

だが同時に労ってやる歳なのかもと思うと、少し悲しみを感じるが、それをぐっと押し込めバルナとの話を続ける。



「だからといって、必要以上に使用人達に仕事を割り振ることはないだろう」

「いつ使い物にならなくなるか分かりません。その前に教えられることは教えておきたいのです」

「…サジリウスは?」

「私に感化されたようです」



夫婦揃って……。



「……」

「ロシュ様。ご心配なさらずともまだまだ我々は働かせていただく所存です。今はただ教える時期なのです。我々が引く時は使用人達に全てを任せても良いと思えた時です」



今まで持っていた不安は猶予があると分かり、スッとなくなった。私は切り替え確認を取る。



「それはあと数年はないと思って良いのだな?」

「はい。ロシュ様が…いえ、ロシュ様のお子様を()()()()()辞めるつもりはありませんよ」

「見たら辞めるとも聞こえる。言い直してくれ」



私の言葉は横暴とも言える。

しかし聞こえてしまったからには言い直してもらいたい。せっかく不安がなくなったのに、変な言い方をされたのだ。

だが、バルナはそうではないと分かっていたようで、微笑んだ。



「ふふ……ロシュ様のお子様をお世話したいので、まだ辞めるつもりはありません」



言い直してくれたバルナとはその後、ゆったりと過去から現在の思い出を語り合った。


……バルナと、昔からいる使用人らにいつか恩返しでもしないとなと思う夜だった。



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