219.バルナ・ボールデングと
おはようございます!
――夜。
晩御飯を食べ終え、デザートに出てきたブルーベリーケーキを美味しくいただいた後。それぞれが部屋へと帰っていく。
ただ1つだけ変わったことがあった。
ライラがレイラと2人で寝ることにしたと言ってきたのだ。
曰く、最後に触れた同年の『女』がユユモなのが嫌なのだと。
だが、同じ行為されても上書きにはなるが、『レイラで上書きした』という事実も嫌だということになり、本人から了承をもらい、抱きつくでなく、共に寝るということになったらしい。
……『私ではダメなのか?』という言葉はかけなかった。自分でも分かっているからな。
私に求めるとしても『女』としてではなく『男』なのだと。
こういった時、こどもに甘えられないこの身体を一瞬恨めしく思うが、やはり今の方が動きやすいのでその考えはすぐに霧散した。
全員がダイニングを去る中、私だけは残り、人を待っていた。
――ガチャッ。
「ロシュ様。失礼します」
「あぁ」
私の待ち人であるバルナが、2つのティーカップが乗ったトレイを持ち、レオに扉を開けられダイニングへと入ってきた。
「本日はお誘い有難うございます」
バルナは挨拶をした後、テーブルに紅茶の入ったティーカップを置いた。
「あぁ。バルナも座れ」
「失礼します」
そう。私はバルナに『晩御飯後話がしたく、ダイニングで待つから仕事を終わらせ来てくれ』と伝えていた。
「仕事は?」
「全てではありませんが終わらせてきています。本当はロシュ様が仰られた通り終わらせてから来るつもりだったのですが、アリエスが『ロシュ様をお待たせしては』と残りの仕事を担ってくれました」
「なるほど」
アリエスなら言いそうだ。
「ベガもその補佐についています」
「ベガもか?」
「はい。代わりにサジリウスが反対側の扉前にて待機しております」
「……バルナ」
「はい」
「私がここに呼んだ理由は予測できているのではないか?」
「なんとなくは。ですが。ここには聡い者がいますからね」
私は食事の前から持っていた折り畳んだ髪を懐から出し、それをバルナへと渡した。
「帰って来たその日。数ある手紙の中に入っていた」
「この字は…イブランですね」
「あぁ。……バルナ。まだ引くには早いだろう?」
手紙に書かれていたのは、『メイド長が何やら教えることに熱心になっている』という短い文章。
だが、これを読んだからには不安を感じるなという方が,私にはまだ無理だ。
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