218.鍵の管理者と香り
服を脱ぎしばらくしてアリエスが風呂場へと入ってきた。
着替えやタオルケットを持って籠に入れてくれてから、メイド服をばさりと脱いで、キャミソールとドロワーズ姿となったアリエス。
そして私の側に寄ってくると、私が身体を洗うために用いていた布を取り上げ、代わりに洗い出だした。
そもそも風呂場の鍵は閉めていたが、専属の者には場所に応じてその部屋の鍵を持っている。
私でいうとアリエスは風呂場の鍵を。レオは私室鍵を、ベガは執務室の鍵を持っている。
風呂は裸になるという理由で同姓であるアリエスが、私室は寝る=寝込みとも言えるため緊急事態に備えレオが、執務室は私がよくいる場所、しかしアリエスはすでに鍵を持っていたため鍵を持っていなかったベガが受け取った。
ベガの理由だけ消去法となってしまったのは仕方ない。本人も言ってあるため、遺恨は残ってない。
ちなみに全部屋の鍵は私とサジリウスが持っている。
風呂を出ると、廊下の涼しさに心地よさを感じる。
「ロイ様?」
「あぁ、涼しと思ってな」
「匂いが漂うのを避けるため、香を炊きつつ通気のため、いつもより窓が開いています。2階以外の窓の近くにはサジリウスさんが人を配置していました」
2階に風が通るのは2ヶ月に1度の大掃除くらいだ。新鮮さも感じるのは、香の匂いがするからか。
「確かに香の匂いがするな」
「森林の中をイメージして作ったそうです」
「じめっとした匂いはしないな」
「……それは日差しが射していない森林では?」
「あ~…。射してる方か」
森林といわれて雨上がりや、日の射していない場所の香りを想像するのものは、普通いないか…少し気恥ずかしくなった。
「普通はそちらをイメージされるかと。ではロイ様。お部屋へ戻り髪を拭きましょう」
「あぁ」
その後、アリエスが髪を乾かしてくれている間に、本を読んで手持ちぶさたを解消した。
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今日は予約投稿失敗しませんでした。
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