21.油断大敵
結果をいうと、レオとメダが私達の馬車に追い付いたのは王都に入るすんでの所だった。
後ろのもう1つの馬車を操作していたアリエスが気づき、私達の馬車と平行すると2人の追い付きを知らせてきた。
『レオとメダが向かってきています!私達は先に進もうと思いますが、ロイ様はどうなさいますか!』
『待つ!』
窓を開け少し声を張り上げるようにおこなった会話で、アリエス達を乗せた馬車は、王都に宿を取るため先に進み、私達の乗る馬車は速度を落とし、レオとメダとの合流をすることになった。
馬車が完全に止まって数秒後。窓の外にレオの姿が見えたので、窓を半分開け会話を出来るようにする。
「ロイ様。遅くなり、申し訳ございませんでした」
遅くなったことを謝る必要はないが、レオに謝るなと言っても聞かないだろうな。
「よくぞ無事だった」
「はい」
「詳しい話は王都についてからしたいが、馬は大丈夫か?」
「大丈夫です」
「メダは?」
「あいつは頬に切り傷を負いましたが、毒が塗られていたわけではないので数日で治ります」
傷を負ったか。
良く見るとメダが申し訳なさそうにしている。理由は隣を見ればわかるな。
「メダが傷を!?」
誰かが怪我をするとすぐに慌ててしまうレイラのことを知っていて、申し訳なさそうにしていたのだろう。
「レイラ。病気や後遺症が残る傷じゃない。落ち着きなさい」
「と、とうさま!でも!」
「レイラ。もう1度いう。落ち着きなさい」
「……は、い」
1度は優しく言葉をかけたが、誰かが傷を負う度に慌ててしまうのはあまり貴族として、好ましくはない。
2度目は怒気を含ませて言葉をかけた。
「レオ。メダは後方だ」
「はい」
私はレオに2人の配置位置を告げて窓をしめた。
そしてレオが先頭となり馬車は再び動き出した。
「レイラ。落ち着いたか?」
「はい。ごめんなさい。とうさま」
「理解しているならいいが、明日には王宮に赴くのだ。隙を突かれる言動はするな」
「はい」
レイラにきつく言っておかないといけないのは、私がレイラと共に王宮へと行くがずっと一緒ではないからだ。
私の領地のように和気あいあいと貴族同士が話せるわけではない。誰かを『好ましくない』という印象を与える発言をすれば『敵対している』と話が大きくなる。
貴族が善良な貴族達を陥れるため、日々ターゲットを探している。
地位などの後釜を狙って。
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