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205.心置きなく


サヤンキが自身に試練を課していたことは分かった。



「確かにな。だが、自分が作ったと黙っていることは信用が揺らぐぞ?」



他の貴族の屋敷でサヤンキが同じ事をすれば、お抱えの料理人が作ったものがすり替えられていたと、激怒や避難を受けても否定できない行動だった。

この我が家だからこそ黙っていても『何故黙ってたんだ?』程度で済む。


口に含むものを誰が作ったのかを知らないことは、貴族にとって警戒心かない行為だ。

街で食事をするときは、誰が作っているのかを確認していた。顔を覚えておけば何かあった際に処断できるからな。



「うぅ…だって皆様、言ったらスロウさんが作った物とどう違うか事細かに言いそうだったっすから!さっきだってもしロシュ様が言っていた食感の事に対して追及してたら、絶対に言われてたっす!なんか色々付け足されて言われてたっす!俺、皆様の指摘を真正面から受け入れたら、料理人やめちゃいそうっすから!」



私はライラとレイラと視線を合わせてから、サヤンキに苦笑を見せた。

皆『自分達ならやるか』『やるね』『やる』という視線合わせでの意志疎通をした結果の苦笑をだろう。


その表情を見たサヤンキが『やっやっぱり!!』と叫んだ時、いつまで経っても帰ってこない彼に、痺れを切らしたであろうスロウの怒号が出入口から聞こえた。


後で遅れてしまった理由を話してをサヤンキへのフォローとしてやろう。








――食事を終え、風呂に入ったロシュは髪が乾くとすぐに就寝をした。






――翌日。早朝。


――ロシュは日課になっていた素振りを、屋敷に帰って来てようやく心置きなく再開できたことに、嬉々していた。

屋敷の玄関口で素振りをしていたロシュの所に、1人の男――イブランが姿を現した。



「ロシュ様、おはようございます」

「あ、ぁ。イブランか。おはよう」



誰かが近づいていた事には気づいていたが、イブランだったとはな。私は少し息を切らしつつ挨拶を交わした。



「久々に聞きました。ロシュ様の素振りの音を」

「いなかったのだから当たり前だろう……それより、ここに来たということは打ち稽古をしてくれるということだな?」



心置きなくやれるというのは、いっそ清々しくもある。


少し強引ではあったが、イブランは打ち稽古の相手をしてくれるといってくれたため、場所を変えて打ち稽古を楽しんだ。




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