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204.料理の違い


晩御飯の時間になると昼間とは違い、コース料理にしたらしく、1つ食べ終わる頃にまた料理が運ばれてきた。



「ん?これは……」



私は何個目かの料理を食べた。

その料理はよく私が好きで作ってもらっている料理だったのだが、いつもより食感が柔らかく味も濃かった。

これはこれで好きだがな。



「どうかしました?まさか何か不純物が入って…?」



私が口にした言葉に、料理を運んできていたサヤンキが不安げにどうしたのかと聞いてきた。



「いや、違う…。うまかったが、いつも作ってくれる物より柔らかかったからな…もしや、サヤンキが作ったのかと思ったんだ。違うか?」



これで違ったらスロウの調理法が変わったということになるが…



「…あ、当たりです!そうっす!俺が作ったんですよっ!」



暗い表情がパァァァッと明るく一変した。自分が作った物だと言い当てられたからだろう。

ライラやレイラも『よくわかったね』と少し驚かれた。



「サヤンキ。喜ぶのはいいが、激しい動きはやめなさい。埃が舞う」

「あ、すいませんっす」



サヤンキは興奮を抑えたが、その目はいまだに嬉しそうだ。



「それで…運んできた時、何故自分が作ったと言わなかった?スロウが作るのを許したのだから、言うべきだろう」

「いや、ちょっとした自分への試練だったんっす。だからスロウさんに言えって言われたけど言わなかったんっすよ」



勝手に『試練』にされたことには別になんとも思わなかったが、どういうものだったのかは気になった。



「試練とは私達が気づくかどうかか?」

「指摘しないでくれたらスロウさんの味を限りなく再現出来てたってことっすから!あ、でもきちんと後で『あの時だした料理は自分が作った』と言うつもりだったんで!まっ、美味しくないって言われなくてよかったっす!」

「確かに僕らは美味しくなかったら、美味しくないっていうよね」

「スロウさんが作っててもいうわね」



美味しくなかった時はスロウが別のものを寄越すから、余程嫌いな味が出ない限りは皆、言わないがな。

何せ、スロウが別のも寄越した時は必ず前日のものが出てくる。


本人いわく『昨日の料理が美味しかったのならそれを食べてもらえば良い』という考えらしい。


つまり『美味しくない』というのは『昨日食べたものの方が美味しかった』。

我が家の暗黙のうちに作られた裏の意味がある言葉だ。




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