202.張り切り昼食会
――コンコン。……ガチャ。
――執務室のドアが、中にいるロシュの返事を待たずに開かれた。
ドアを開けたサジリウスは、ロシュの正面となる位置に立ち止まった。
「ロシュ様」
「・・・」
――サジリウスの言葉に返事はない。それから2度ほど同じ事をしたが、ロシュは書類から目を離すことはなかった。
「ロシュ様。失礼します」
――サジリウスはロシュの目にしている書類を素早く奪い取った。
「っ、あっ……サジリウスか」
――ロシュは奪われた瞬間、取られた驚きと読んでいた途中だったのにという切なさを感じた。
しかし奪い取った者の顔を見たロシュは、その感情を納得したものへ変えた。
何故手元から書類が無くなったのかという理由を理解したからだ。
「サジリウス、助かった」
「いえ。昼食の準備が整いましたので、お呼びに参りました」
「行こう」
私は椅子から立ち、ダイニングへと向かった。帰還したばかりのため、今日の昼食は使用人と共に食べる事になるだろう。
スロウは我が家と使用人達全ての食事管理を取り持っている。そのため、執事寮などに料理をしに行くより、皆でとってもらった方が楽なのだ。
今回の場合は楽したかったのは、我々帰還者達であるがな。
昼食は予想通り豪勢なものとなっているらしい。
その量からバルナの判断によりダイニングでバイキングとなったとサジリウスはいう。
ダイニングに入ると長テーブルは窓側の壁に寄せられ、椅子は撤去されいた。
「量が量ですので、他の使用人も呼ばせていただきました」
「そう、だな。良い判断だ」
バルナの言葉に返事をした私は、目の前の光景に少なからず驚いていた。
量が多いとは聞いていたが…誰かの誕生日だったのかと思うほど様々な料理が並んでいた。
それから私の言葉を皮切りに皆が料理へと手を伸ばし始める。今は主人や使用人など関係ないため、思い思いに皆好きな食べ物を皿に取り食べ始めている。
私もタイミングを見計らい料理を取り、壁近くまで下がった。
ゆっくりと食べる者は壁に寄り、料理の近くを彷徨いているのは、食い気の多い騎士や執事達だ。
その中の小さく紛れるライラを見て微笑ましくなる。いずれは皆と背丈も同じくらいになるのだろうなぁ。
「ロシュ様、いかがですか」
「ん……。あぁ、いつも通り旨いぞ。食事はやはり我が家が1番だと再確認した」
「…は。ありがとうございます!」
料理の感想を聞きにきたスロウに、素直な感想を伝えると照れたように笑い、礼を述べられた。
旨いものには素直に旨いということは私にとっては、当たり前だ。
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昨日休みだったのにまた明日は休みです!
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