2.ライラとレイラ
――数十分後。
領主室で簡単な仕事をこなしていると、扉がノックされた。
「当主様。ライラ様とレイラ様をお連れしました」
アリエスが子供達を連れてきたという言葉に、私は部屋に入るように促した。
扉がアリエスの手で開かれる。
「失礼します」と入ってきたのはむすこのライラである。
――マリーゴールドのショートヘアに、ハニーイエローの瞳。
緑と白で基調された服に白のパンツ――
ライラは青や緑などの深緑系の色を好む。今日のは見慣れた普段着だ。
ライラに続くように入ってきたのは、むすめのレイラだ。
――ハニーイエローの腰までは届かない程度の髪に、マリーゴールドの瞳。朱色で白のレースが施されたワンピース――
レイラは赤系統の服に違う色をよく施している。が、ピンクは例外である。
ライラとレイラが部屋に入り終わると、二人の後ろで「失礼いたしました」とアリアスが扉を閉めた。
「何かありましたか?」「何かありまして?」
扉がしまるのを待っていたかのように、ライラとレイラがシンクロして、何かと聞いてくる。
この2人は双子で、ライラが兄で、妹がレイラだ。まぁ2人の中には兄や妹という上下関係はない。同等だ。
喧嘩をしているのを見たことがあるが、『兄なんだから!』や『妹なのだから!』という単語は聞いたことはない。
違うところは筋肉の付き方と日のやけ方。あとは、性別と体重くらいだろう。
私が領主室に2人を呼ぶことはあまりないのが、深刻な事だと思わせたようだ。
よく見れば、2人とも髪に寝癖が付いている。
休日だからとまだ寝ていたのだろう。起こしてしまったのは申し訳ないが…
「まずはソファーに座りなさい。それと当主か領主と呼ぶように」
2人の未来に関わることを話すのだ。早めに知っておいた方がいいだろう。
私は親としてではなく、公爵家当主として接することを2人に強調した。
身を引き締めて聞いてくれねばな。
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追記
――異性の双子について。
ごく稀に異性の一卵性双生児が発見・出産したという情報だけを元に、ライラとレイラの存在を確立しています。