11.それぞれの出発 ★
数日後。
私達はそれぞれの目的地に向かう馬車の準備をしていた。
「ライラ。数日間頑張ってね?」
「……レイラもな」
「……えぇ」
ライラはプリリル公爵の所に行くため、私とレイラとは別の馬車で王都へ向かう。
数日間離れるにあたり、ライラとレイラは励まし合いをしている。
ライラと一緒にプリリル公爵家へは専属の執事が2人に、騎士1人がついていく。
私はその中で1人の執事に話しかける。
「デネヴィー。くれぐれもライラをよろしく頼むぞ」
「はい。お任せください。絶対にライラ様は渡しません」
――黒髪に茶色い瞳、騎士服を着た――
デネヴィーにライラを頼むというと、公爵には渡さないと言われた。
「ライラの気持ちが優先だ」
「……はい」
「だが、ライラにそのつもりはないだろう。その気持ちで挑んでくれて構わない」
「はい!」
ライラのプリリル公爵の子だと聞いたときの嫌そうな顔を見てはな……絶対に拒否したかったのだと分かってはいた。
それにプリリル公爵家とはこれまでも交流があったが、ライラのユユモ令嬢に対するものは全て社交的なもの。好意の欠片すら感じさせてはいなかった。
デネヴィーの気持ちはとっても、ライラにとってありがたいものになるだろう。
「とうさん。いってきます」
「あぁ。気を付けてな」
「はい。夜は絶対に死守します」
ライラの死守宣言を聞き届けた後。
騎士が乗った馬を先頭に、ライラ達を乗せた馬車が出発した。
「とうさま。こちらも準備が出来たみたいですわ」
「あぁ」
私達は馬車乗り込み、世話役のメイドと執事の分で馬車を2台出し、先頭をレオが、後ろにはレイラの専属騎士の
――水色のショートヘアに黄色い瞳で騎士服を着た――
メダが馬でついてくる。
「とうさま。今日中には途中の町につくのですよね?」
「あぁ」
「そうですか……」
「夜営が良かったのか?」
先月。ライラとレイラは町の視察についてきたとき。帰りに森の中で夜営することになり、レイラはやけに興奮していたのをよく覚えている。
まぁ。回りの警戒も大変だったが。
「淑女として夜営などダメなのは分かっていますけど…」
「バレなきゃいいだろう」
「ではまた夜営をしてくれますか?」
「考えておこう」
場所と日程を開けないとだな……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー