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105.しんぱい



翌日。朝食を食べた私達は、馬車の中へ荷物を詰める使用人を見守っていた。

手伝おうとすると『仕事を取るな』などと言われるのでな。見守るしかない。だが。



「手ぇ叩かなくてもいいじゃねーか…」

「アリエスさんの言い分も一理あるから仕方がない。諦めろ、ジャル」

「はぁ…いてぇ」



そんなことを知らないジャルは、アリエスが屋敷から持ってきた荷物を重そうだと、持とうとして手を叩かれた。

そもそも客人に手をあげることなどあってはならないものだが、アリエスの中ではメイドの仕事を『高位』の人間がやること自体不服らしい。


ジャルは騎士である前に異国からの客人というメイドよりも高位になる人物だったため、やらせるわけにはいかないとなったのだろう。これがレオやベガだったなら素直にやらせていただろうな。



「ロシュ様」

「どうした、デネヴィー」

「アルタのことなのですが…いつもでしたらライラ様と一緒に乗せますが、今回はランス様もおりますので…」



悩ましげに話しかけてきたデネヴィーは、アルタが乗る馬車はどれかと聞いてきた。


ふむ。


デネヴィーの悩んでいたことを砕けた言い方をするなら、『見習いのアルタがもしもの時の盾として役に立てるのか?客人であるランスもいるのに』ということになる。

確かに1対1ならアルタも応戦し時間稼ぎも出来る。だが、



「アルタも剣術が上達してきているだろう?」

「はい…」

「なら要らぬ心配はするな…」



アルタもアルタで騎士ではないのに剣術を頑張っているのだ。2人くらい逃がすことは、出来るだろう。



「…ちゃんとランスのことも守れる。それに馬車の御者はデネヴィー、お前がやるのだろう?そうなる前に走って逃げるくらいのことは出来るはずだ」



ライラの事でしか動なかったアルタはもういない。きちんと守る対象を心得ている。



「そう、ですね。未然に戦う状況を避ければ問題はないですね。お手数をお掛けしました」

「あぁ」



デネヴィーはそういうと、自身が操る馬車に戻っていった。



「ロイ様。こちらは準備が出来ましたので、他を手伝って参ります」

「分かった」



それからしばらくして、全ての荷物をそれぞれの馬車に積み終わり、私達は王都へ向けて馬車を走らせた。




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