103.見直し
Merry Christmas
ダイニングで、事の顛末を話した。
それを聞いたアリエスとオリオンは、こちらの予想した通りの反応である、『呆れ』を露にする。
しかし外で話をした時、大目に見てとランスに言われたため、ああだこうだと何かを言うことはなかった。
「だが明日からここを離れるというのに、盗賊達が出てくるとは…」
「いや話を聞いた限りじゃ、そいつらは紛いだろ?警備の変更点が出てくるな」
紛いとは、本物ではないという意味が含まれている。だからこそやっかい。
オリオンが言った通り、警備プランの変更をしなければならない。屋敷を長期空ける時には毎度考えているとはいえ、直前になってそれに変更点があることなど稀だ。
イブランとも話し合って決めた日程や騎士団の人員配置、夜間の警備など色々と考え、纏まっていたところに『盗賊紛い』といういつ動き出すかも分からない者達への警戒をしなくてはならない。
紛いとプロの違いは、計画的か否かだ。
盗賊をしているものは計画を練り、いかに多くの金品を取るかを考えるが、紛いは思いたったらその日のうちにというスタンスだ。
そのため、警戒度を上げたプランにしなくてはならなくなった。イブランにも来てもらわねばな。
「そうだな……ランス。すまないが私は失礼する」
客人を1人残すのは失礼だとは思ったが、今やらねば徹夜だ。
「あの、僕にも何か出来ることは――」
「それにそちらの国とは、色々と警備態勢の基準が違うからな…あまり出来ることはないと思うぞ。ただ手伝おうとしてくれた気持ちだけ受け取っておく」
「…はい」
少し忍びなく思うのだ、落ち込むのはやめてくれ、ランス。
「…オリオン。ランスを頼むぞ?」
「了解」
私は暇にしているオリオンにランスの事を頼むと、ダイニングの外に出る。
そこで待っていたレオに、イブランに執務室に来るように言伝てを頼んだ。前日くらいはゆっくりとしたかったな。
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